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冬と共に警告する者は、大切な者達の生きる世界を壊したくないと望んだだけ。
春を齎す剣の使い手は、己を認めてくれる存在を失いたくなかっただけ。
黒き翼で空を舞う者は、ただ一人の友人の意志と願いを守りたかっただけ。
白の羽を身に纏う者は、主との再会を夢見てその帰るべき場所を存続させたかっただけ。
救世主の血を引く者は、血に構わず祖国と世界のために出来ることをしようと思っただけ。
狂った力を持つ少女は、愛しい人が穏やかに暮らせる世界を欲しただけ。
そして古い物語を信じる多くの者達は、巡る世界の中で冬に怯えず自由に生きていきたかっただけ。
―――これは皆それぞれの小さな願いが集まって出来上がった物語。
誰もが自分の願いを叶えたくて動いた結果。
ただ、それだけのことなのだ。