「それはどっちのセリフだ?」

千鶴に向かって繰り出された拳を軽く受け止め、庇うように前に立った人物が冷めた声と共に男を見据えた。





黒崎一護観察日記〜おまけ〜2





いつまでもやって来ない衝撃といきなり目の前を暗くした人影に気づき、千鶴はきつく閉じていた目を開ける。
そして、そこにいたのは―――





「くろ・・・さき?」

オレンジ色の短い頭髪を持ち、体の線に合わせた服に身を包むクラスメイトの姿に
千鶴を含め、他の3人も目を見開いた。


「こいつらはお前と遊んでられないってさ。わかっただろ?さっさと別のヤツんトコに行けよ。」

千鶴を背に庇ったまま、一護は受け止めていた男の手を開放した。
どうやらかなり痛かったらしく、一護に掴まれていた右手を左手で擦りながら、
そこで初めて男は一護の顔をまともに見やった。
と、怒りに染まっていたその顔が、先刻のような嫌な笑みを形作る。

「じゃ、お前が相手してくンない?そこの4人の代わりにな。」
「「・・・はぁ?」」

千鶴たちの代わりに自分達に付き合えと言ってくる男3人組に、
一護と、そして千鶴の両名ははっきりと眉をしかめた。

「ざけんな。俺はお前らみたいな暇人と遊んでられねぇんだよ。とっとと失せろ。」

切り捨てるように一護が吐くが、相手はどこ吹く風・と一護を取り囲んだ。
左右と前を塞がれ、一護の眉間はさらに深く皺を刻む。

「どけ。」
「だーめ。」
「いいからどけ。」
「聞けねーなぁ。」

ニヤニヤと。
そんな表情を浮かべる馬鹿どもを今すぐ張り倒してやりたい衝動にかられるが、
無闇に怪我人を出す必要もなかろうと、そこは何とか抑えて静かに告げる一護。
だが遂に、そんな一護に正面の男が手を伸ばした。

「・・・放せ。」

顎を掴まれ無理矢理に上を向かされた一護は、眼光を鋭くして相手を射抜く。
それをまともに受けた男は、ただ無言でゴクリと息を呑んだ。

「・・・おい。どうした?」

急に押し黙った仲間に、一護の左にいた男が声をかける。
それを聞いてハッとし、正面の男が口を開こうとしたその時、
ポン・と、その右肩に誰かの手が置かれた。


「そのくらいにして頂けません?」












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