「そのくらいにして頂けません?」





黒崎一護観察日記〜おまけ〜3





慌てて男達が振り返れば、ニッコリと音がしそうな笑み浮かべた見た目20代後半の男。
仕立ての良いスーツに身を包んだ金髪の優男に、ナンパ3人組は口を歪めて嘲笑を送る。

「はぁ〜?何言ってんだよ。テメーには関係ねぇだろ。」
「俺達は今こいつと話してんだからよぉ。」

そう言って、男の一人が一護の前髪を掴んだ。

「・・・ッ!」

流石に怒りも露わになり、抑えていた攻撃衝動のまま一発食らわせようと一護が動く。
しかし、一護は目の前にいた金髪の優男―――浦原の瞳を見てその熱を瞬時に収めた。
その変化を感じ取ったように浦原が微笑み、そうして3人の男にそれぞれもう一度視線を合わせる。

「アタシ、怒ってるんですけど?・・・だから、退きなさい。」
「・・・ヒッ!」

無色の炎が揺らめく、底の見えない冷めた瞳。
その深遠の一端に触れた途端、彼らの動きが止まった。
見る間に顔を青ざめさせ、終いには無言でその場から走り去って行く。
それを笑顔のまま見つめ、浦原は一護の方に向き直った。

「・・・スミマセン。遅れてしまって。」
「へ?あ、ああ。別にイイって。どうせアチラさんの仕事でも入ったんだろ?」
「お察しの通りっス。ちょーっとばかし、開発局の方で問題が発生しちゃいまして。」
「アンタも大変だよなぁ。」

ふわり・・・と一護が微笑んだ。

「「「「あ・・・」」」」

と、その笑みを横から見た少女たち4人が小さく驚きの声を出す。
それはまさに『花が開くように』という形容詞がピッタリの表情だった。
しかしそんな彼女達の様子に気づくことなく、一護は浦原に近づき、「でも・・・」と続けた。

「あんまし、その目ぇ他人に見せるなよ。」

一護が両の手を浦原の頬に添え、その不思議な色合いの瞳を見つめる。
浦原がクスリと笑った。

「それは、キミの独占欲?」
「さぁな。でも、そうホイホイ誰かに見せたいモンじゃねーよ。
アンタの目は、俺だけを見てりゃァいいんだ。それにあんなクズ、アンタの目に映す価値もねぇ。」

そう言って、一護は艶然と微笑む。

「それはそれは・・・
黒崎サンにそう言ってもらえるなんてねぇ・・・恐悦至極に存じますよンv」

そうして浦原は一護から視線を外し、千鶴たちの方を向いて軽く会釈した。

「それじゃ、黒崎サンは頂いていきますね。」

ニコリ・と瞳を見せぬまま微笑んで、浦原は一護の手を取って歩き出した。

「あ、じゃーな。本匠、小川、国枝、夏井。今度は気ィつけろよ。」

浦原に手を引かれつつ振り返って、一護がふわりと微笑む。
それを見て無意識に赤く染まりだす顔を誤魔化すように「わかってるわよ!」と千鶴が返した。
「ははっ」とその返答に苦笑をもらし、一護は前に向き直って浦原と二人、歩いて行った。






火照る顔を少しでも冷やそうと手を頬に当てながら鈴が口を開く。

「強烈ねぇ・・・でも、そういうこと・・・・・・か。」

その声にうんうんと同意を示しつつ、みちるとマハナの二人も赤く染まった顔を冷やそうと頑張っていた。






顔の赤い4人を見て、やって来たルキア、たつき、織姫の3人が首をかしげたのは、また別の話。


















おまけのオマケ



「でもね、黒崎サン。」
「ん?何?浦原。」
「キミだって、あんまり他人に見せちゃダメっスよ。その笑顔。」
「・・・・・・俺、笑ってた?」
「無意識っスか・・・」
「みてぇだな。でもさ、これは『俺、幸せです』ってことだから。」
「・・・え。」
「アンタと・・・浦原といられて、本当に幸せですってこと、な?」
「あぁもう。キミってどうしてそんなに可愛らしいんですか。」
「浦原を愛しちゃってるからじゃねぇ?」
「・・・・・・完敗。キミには完敗ですよ。大好きです。愛してます。」
「俺も。」


月色の大人と太陽色の子供が、そうして緩やかに口づけた。








すみませんすみませんすみません・・・・・・!

尸魂界から帰ってきた後の設定ということで好き勝手してしまいました。(浦原さん、技術開発局に復帰してるし)
も、ホント。こんな駄文で申し訳ないです。
よっしい小野瀬様、返品交換はいつでも受け付けておりますので!

この度は真にありがとうございました!!



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