浦原商店の者達の手によって次々と倒されていく虚達。

「強い・・・!どんどん虚の数が削られていく・・・!」

雨竜はその光景にただ圧倒されるばかり。
しかしそれとは逆に一護は冷静に浦原を見詰め口を開いた。

「ここは素直に“ありがとう”って言っとくべき?」
「いえいえ。お得意様には常にサービスってね。・・・ ホラ。雑魚はあたしらが引き受けますから、黒崎サンはあいつとの戦いに専念してくださいな。」

そう言って、浦原が空を指差す。
一護はその指の先―――大虚を見上げて誰にも聞こえぬようにポソリと言った。

「よく言うぜ。」












ウゴキダシタモノ 5











雨竜も浦原の指差す先に視線をやり、頬に汗を伝わせて目を見開いた。

「で、出てくるぞ・・・!」

バキバキと音を立ててメノスが空を裂いていく。
まずは上半身を覗かせ、メノスは周囲に集まった虚たちの歓喜が混じる雄叫びを受けた。
それをぐるりと見渡し、口を開いて漆黒の世界をのぞかせる。
次の瞬間、その闇の中から出てきた長く鋭い舌が虚達を串刺しにし、 それは瞬時に戻ってメノスが虚達を噛み砕く嫌な音が辺りに響き渡った。
骨の砕ける音。肉がすり潰される音。
そして口の中に入りきらなかった虚の手や足が体から千切れて一護たちの目の前に落下してきた。
雨竜はそれをぞっとした表情で見つめる。

「・・・ッ、仲間の虚を喰ってる。なんて奴だ・・・!あんな奴とどうやって戦えば・・・」

メノスの霊圧に圧倒されたのか、雨竜の体がふらりと傾いた。

「おい、石田?」

そのまま横に立っていた一護の体と接触する。

「・・・!?」

雨竜の体が一護に触れると同時に雨竜の右手にあった弓が突如、倍近くの大きさになった。
下の方は既に地面にめり込み、土とすれてベキッゴリッという音を立てている。
それを見て雨竜が息を呑んだ。

「黒崎の力か・・・!」
「その弓・・・俺のせいなのか?」
『お前の抑え切れてない霊力がそこの眼鏡に流れ込んでんだよ。』

一護の問いに答えたのは、雨竜でなく自身の相棒。
そうして雨竜は何か考える素振りを見せ、しばらくして一護に向き直る。
しかし丁度その時、一護は雨竜の方には特に興味もなくなったので、ルキアが・・・というよりルキア達がいる方向に 神経を研ぎ澄ませており、何やら一護達を止めようと叫んでいる彼女が浦原に縛道をかけられたのを感じ取っていた。

(・・・あ。ンの下駄野郎、ホントに一体何のつもりだ。)

「黒崎!僕達、あいつを倒せるかもしれない!!」
「へ?」

聞いていなかった一護が少し気の抜けた疑問を返した。














「よし!!準備完了!これで奴と戦えるぞ!!」
「・・・・・・」

意気込む雨竜に一護は哀れみらしき視線を向ける。

「バカだろ、お前。」
「何!!!」

一護の斬魄刀を布で頭に括り付けた雨竜がそのまま首を後ろに曲げ、刀がブンッと風を切った。

「ゴチャゴチャ文句を言うな!!君の刀と僕が接触した状態で君が霊力を全開で放出すれば、 僕はとてつもなく巨大な矢を放つことが出来るはずなんだ!」
『着眼点は間違ってねぇな。』
「さあ!力を解放しろ!霊力をコントロールして最大出力にするんだ!!」
『でもそれは最良の選択じゃねぇ。それどころか最悪に近い。』
(確かに。)

雨竜の提案に対して一護の頭の中では声が響いていた。
声は苦笑し、そうして雨竜が言い切った後、一護もクスクスと笑い出す。

「な、何が可笑しい!黒崎!!」

それを見て激昂する雨竜に対して一護は他の者には聞こえないように口を開いた。

「なぁ石田・・・お前は俺に霊力を全開にしろって言うけど、そしたらどうなるか・・お前わかってんの?」
「は?どういうことだ!?」

学校ではしないような表情―――一護が目を細めてクスリと笑う。

「この状態で俺が霊力全開にしたら・・・お前、壊れちまうぜ?」

そう言い切った一護の目を見て、雨竜は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
深い琥珀色の瞳が与えるそれはメノスに対するものよりもずっと重く、冷たくて。
今まで知っていた「黒崎一護 」との差に雨竜はただ戸惑う。

「黒崎?君は一体・・・」
「まぁ大丈夫だから。後は俺に任せとけ。」

そう言い残し、急激にメノスの霊圧が高まっていく中、一護は斬月を持って地面を蹴った。






















さらに一護が黒い(大汗)











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