「破道の四!!白雷っ!!」
掲げられたルキアの左手から放たれる一撃が対峙する虚の腕にヒットした。 しかしそれに怯む事すらなく、虚は体を回転させてルキアを打ち払おうとする。 後ろに飛んでそれを避けるが右ひざを負傷してルキアが毒づく。 (雑魚相手にこのザマ!義骸に籠って二月・・・私の力は如何程も回復しておらぬというのか・・・!) 虚が第二撃を放とうとするが足が痛んでルキアはまともに動けない。 「・・・ッ!」 しかし突如として虚が吹っ飛んだ。 ルキアの視界の端をオレンジ色が掠める。 「・・・いち・・・」 「会いたかったよ姐サーン!!」 「コンか!!コンだな貴様っ!?えぇい!抱きつくでないわっ!!!」 抱きついてきたオレンジ頭をルキアはとりあえず殴り飛ばしてみた。 ウゴキダシタモノ 3
「ネエさん!コレ一護の体っスよ!?」
「はっ!しまった!!」 慌てるが後の祭り。 オレンジ色の頭には見事なたんこぶが一つ出来上がっていた。 (すまん一護・・・!) 今は此処にいない人物を思って、ルキアは心の中で頭を下げる。 それからルキアはコンに振り返って口を開いた。 「貴様は何故こんな所にいるのだ?それに、こうしてその姿だということは、貴様を使って一護は死神化を・・・?」 「あ!そうなんですよ!なんか一護のクラスのヤツが目の前で虚用の餌をばら撒きやがって!!」 「なっ!?こんなにも虚がいるのはそのせいか!!」 「とりあえずオレを使って死神になったんですが、やっぱこうも数が多くちゃどうしようもありませんって! オレも途中で見かけた虚は全部のして来たんスけど・・・!」 そう言って、コンはルキアの背後に現れた人物に視線を送った。 この体の持ち主のように眉間にシワを寄せることは無いが、コンは彼をキッと睨みつける。 「てめー!町中の人間殺す気か!?何てことしてやがんだ!!」 「心配は要らないさ。僕はこの町の人間を誰一人死なせるつもりは無い。 たとえ黒崎一護が力尽きようと、僕が命にかえてもこの町の人間を守り抜く!!彼の・・・死神の見ている前でね!」 コンに吼えられてもその人物―――石田雨竜はさらに言い返し、そして自身に視線を向けたルキアに告げた。 「こんにちは、朽木ルキア。言っとくけど、“死神”にはもちろん君も含まれているよ。 君達が見ている前で僕は滅却師として全てを守る!それができなければ、この戦いの意味など無い・・・!」 「・・・貴様・・・一体何を求めて・・・・・・・・・ッ!?」 ルキアたちの視界が急に暗くなる。 三人同じように後ろを振り返れば、そこには立ち上がった虚の姿。 「ち・・・ッ!」 毒づき、雨竜が弓を構えた。 しかしそれが虚を貫くことは無く――― 「「一護!!」」 「黒崎!?」 虚の仮面を縦に切り裂いて現れたのは死覇装姿の一護。 斬月を右肩に担げて眉間にシワを寄せたまま笑う。 「こんな所にいやがったのか。石田ァ・・・!」 「・・・ッ」 「本当なら今すぐテメーを泣かしてやりてえところだが・・・」 一護は空を見上げる。 「まず先に相手しなきゃなんねぇヤツが出てくるんでな。」 「?なにを言って・・・」 一護と同じ方に視線を向けると雨竜は途中で言葉をなくしてしまった。 「なんだあれは!?」 青空に広がるヒビ。 そこに向かって数多の虚達が集まってきていた。 「たぶん・・・それだけじゃ終わんねぇぜ・・・!」 一護が虚たちの群れへと駆け出す。 「おい待て!聞いているのか黒崎!?」 「一護!どうするつもりなのだ!?」 雨竜が、そしてルキアが叫ぶ。 しかし一護は止まることなく突っ込み、虚達の中に姿を消した。 「くそっ!」 後に続いて雨竜も駆け出す。 「この勝負、僕が負けるわけにはいかないんだ・・・!」 |