一護、チャド、水色、そして啓吾の4人組がチャドのインコを囲んで談笑している中、
キュッとリノリウム張りの床と靴底をこすり合わせる音がして少女が声をかける。
「みなさんおはよう!」 朝から浦原商店に寄ってきた朽木ルキアである。 (おー。今日もキラキラオーラが出てますねぇ、朽木さん。) 学校では猫をかぶっているルキアに対し、一護はそんなことを思う。 彼女は一護と目が合うと、 「ところで黒崎くん・・・ちょっといいかしら。」 と声をかけつつ、目で一護に人気の無い所で話したいことがあると伝える。 (なんかあったのか?) そう思いつつ一護は「わかった。」と言ってルキアと共に教室を出た。 一護たちが教室を去った後、啓吾たちが「一護・・・」と、 そろってため息をついたことは、また別の話。 トウソウトツイセキ 2
渡り廊下の横まで来た一護にルキアはホレッと先ほどもらった義魂丸を投げる。
それをキャッチした一護は、 「何だコレ・・・ソウル*キャンディって書いてある。」 と言いつつルキアのほうを見る。 「義魂丸だ。・・・知っているか?」 (義魂丸・・・・・・・・・あ、あれか。) ルキアの言葉にピンとくる一護。 以前あの白い死覇装を纏った相棒に教えてもらったことがある。 「一応な。」 「なら話は早い。おぬしには必要ないものだがな。 お試し品としてもらったのだ。・・・一度試してはどうだろう?」 確かに自分の力だけで魂魄体―――死神になれる一護にこのようなアイテムは不要だ。 しかし、なんだかちょっと面白そうではある。 「そうだな。一回試してみるか。」 そう言って、一護はキャンディを一粒取り出し、口の中に入れる。 ゴクリ それを飲み込んだ瞬間、体から死神姿の一護が抜け出た。 一護は死覇装を纏った己の姿と壁にだらーんと垂れている自分の体を見比べて、 「おお!キレーに抜けるもんだなぁ。」 と感心している。 「それだけではないぞ、一護。おぬしの体にはすでに仮の魂が入っておるのだ!」 ビシィと勢いよくルキアが指差した先には一護の体。 それがむくりと起き上がる。 「初めまして!私の名前は黒崎一護!好きな言葉は早寝早起きです!」 敬礼の姿勢で、先刻のルキアに負けず劣らずのキラキラっぷりを披露する一護(体)。 「・・・あ゛?」 固まる一護。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 言葉も出ないルキア。 『うわ。なにコレ。』 ついでに、一護の中で突っ込んでしまう白い彼。 そこにタイミング良く(悪く?)虚の出現を知らせる電子音が。 「と、とにかく。まずは虚だ!いくぞ一護!」 ルキアが一護の襟首をつかむ。 「え?マジ?・・・だぁー!!おい、俺!ちゃんと次の授業出ろよー!」 義魂丸の性格に納得はいかないし、それどころか何やら嫌な予感がするのだが、 ルキアの言うようにまずは虚を倒すことが先決である。 一護はそれだけを叫んで学校の壁を乗り越えた。 「・・・ごゆっくり。」 先ほどとは全く違う表情を浮かべた自身の体を見ることも無く。 |