「そう言えば、そろそろ滅却師の同級生クンが動き出す時期でしたっけ?」 「よく覚えてたなアンタ・・・。」 「滅却師は今じゃ珍しい存在ですからね。」 浦原喜助・四楓院夜一両名による修行の休憩時間中(と言う名のおやつタイム中)、茶を啜りながら浦原さんがポツリと答えた。 現在ウチの高校はテスト期間中であり、それはつまり、石田が目立った行動を取るようになる頃であることを示している。 先日も夜に虚出現の知らせを受けて現場に向かったのだが、石田のおかげで無駄足を踏むことになった。 そのことを話すと浦原さんは、 「キミもわざわざテスト勉強の時間を裂いて出掛けてるのにねぇ。」 と苦笑を浮かべる。 「まぁな。でも今のところは『前回』と同じような感じで進めるつもりだから、こういう無駄足を踏むことも必要だと思って諦めてる。それに、」 「それに?」 「俺はテスト勉強しなくたって何が出るのか知っちまってるんでね。」 だから勉強時間を削られても気にはならない。 と言うか、今もこうして勉強せずに浦原商店で修行したり茶ァ飲んだりしてるしな。 こちらの返答を聞いた浦原さんは帽子の陰に隠れた双眸を瞬かせ、次いでそれもそうだ、と笑い出した。 「ズルイっスねぇ。」 「不可抗力だ。俺だって繰り返したくて繰り返してるわけじゃねぇよ。」 自分でもはっきり判るくらい眉間に皺を寄せると、すみません、と笑い声混じりで返される。 全然すまなさそうに聞こえねーよ。 「夜一さーん、この人に何か言ってやってくれよ。旧友として。」 この大人相手に自分一人では敵わないと判断し、黒猫姿でミルクを飲んでいた夜一さんに素早く助けを求めた。 横から「それこそ本当にズルイっスよ。夜一サンを味方につけるなんて!」と聞こえてくるが知らんフリだ。 「喜助、子供をからかうのも大概にせい。」 「夜一サンってばヒドイ!旧友のアタシより若い男の子の方が良いんスね!?」 「そうじゃのう・・・捻くれたおぬしより素直な一護の方がよっぽど可愛げがあるわい。」 「ヒドイ!ヒドすぎます!!」 そう言って浦原さんが「よよよ、」よ泣きマネをする。 俺&夜一さんチームの勝利だな。 夜一さんには今度高級カツオブシでもプレゼントしよう。 仕上げに黒猫の肉球が付いた前足とハイタッチして、俺は勝利の美酒の代わりにテッサイさんが淹れてくれた緑茶に口をつけた。 |