双極の磔架の破壊は『前回』通り成功。 ルキアを小脇に抱えて驚いた顔の隊長格を見下ろす。 恋次はまだか? 早くしねーと燬鷇王が完全に回復しちまうぞ。・・・って、やっと来たか。 「恋次!」 目元以外を隠すような服装の男(推定)達を難なく倒して現れたのは赤髪の死神。 俺の呼びかけに気付いたそいつはこちらを見上げて叫んだ。 「ルキアっ!!」 ・・・やっぱり呼ぶのは女の名前か。ふっ。 と、ふざけるのはやめておこう。 俺の小脇に抱えられたルキアを見て小さく安堵の息をついてから恋次はニヤリと笑った。 ああこれは俺に向けてのものかな。 "俺も卍解を修得したぜ"ってところだろう。 だからこちらも笑い返してやる。 そんでもってルキアをパス。 勿論『前回』と同様にな。 「恋次!受け取れ!!」 「きゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「馬鹿野郎ー!!」 おお、この反応は『前回』と同じだな。 だが生憎、今の俺は前と同じように長々と喋っていられねーんだよ。 「行け!恋次!!それはてめーの仕事だ。死んでも離すなよ!!」 こちらが投げ飛ばしたルキアをしっかりと抱きとめ、恋次は頷いて走り出した。 少しの間を置いて副隊長達が追いかけるも、蛇尾丸のひと薙ぎで撃退される。 この場には白哉もいないから、その後の恋次を追いかける奴もいない。 俺の方はと言えば、ほぼ復活しちまった燬鷇王と再びご対面だ。 こいつのおかげで『前回』のような恋次の逃走の手助けは出来なかったのだが、それでも特に問題は無かったので良しとしよう。 燬鷇王が大きく羽ばたき、再び空へと舞い上がる。 こちらを真っ直ぐに見据えるその目は一体何を思っているんだろうな。 眼下では四番隊の主従がこの場を離れ(よし、『前回』と同じように話が進んでくれそうだ)、夜一さんは小柄な隊長と崖下の森の中に消える。 隊長達の中で一番偉そうな髭の爺さんがこちらを鋭く睨みつけ、しかも今にも攻撃を仕掛けてきそうな気配を漂わせていたが、それは派手な着物の隊長(この人が京楽さん・・・だよな)に止められていた。 ああでも、どうやらその所為で二人は戦うらしい。あっという間に瞬歩でここから姿を消しちまった。 これで双極の丘にいるのは俺と燬鷇王だけ。 お前に罪はないんだろうが、それでも、ここでお前を斬らせてもらうぜ。 俺はその先にいるアイツを倒さなきゃなんねーんだ。 |