浦原の正体を明かした流れで夜一さんの本当の姿も見せてもらった。 若い頃、夜一さんも浦原さんと一緒に修行していたと言ったので、「猫なのに?」と俺が問うと、「元の姿でに決まっておろう。」と返してきたのだ。 そして俺が「元の姿・・・?」と首を傾げ、結果、そうなったのである。 まあ経緯はともかく、俺が人型の夜一さんを見て盛大に慌てたのは言うまでもないことだろう。 だって分かっていたとは言え、目の前に女性の裸なんだぞ・・・っ! 夜一さんも、もう少し自分の人型バージョンについてきちんと考えた方が良いと思う。 顔を真っ赤にした俺を笑って見ているばかりじゃなくて。な? 夜一さんが服を着た後、次いで彼女がこちらではどんな人間だったのかということまで教えてもらった。 本名は四楓院夜一、四楓院家の当主。 四楓院家は四大貴族の一つにして更に天賜兵装番でもある。 天賜兵装番とは天賜兵装という強力な兵器やその他様々のものを保管・守護する役割らしい。 ・・・だから色々便利な道具を持っていたのか。なるほど。 で。 そんな話をしているうちに白哉が懺罪宮に現れる時間になった。 岩鷲と花太郎相手になんつー霊圧出してんだよ、あいつは。 幾らか離れたこの場所でもはっきりと感じ取れるその霊圧の手加減の無さに少々頬を引き攣らせながら立ち上がる。 「どこに行く気じゃ。」 「決まってるだろ。あそこには岩鷲と花太郎がいるんだ。」 「お前が行っても無駄だということが解らんのか。」 「・・・・・・、」 否定は出来ない。 俺があそこに行っても出来ることなんてきっと無く、そのくせ、どうせ放っておいても岩鷲達が死ぬ事態にはならない。 それを知っているからこそ、俺は一瞬口を噤んだ。 でも。 「行かせてくれ。」 所謂、感情と理性は別物ってやつで、頭では解ってるんだが、だからってここでじっとしていられるはずなどなかった。 夜一さんに頭を下げ、もう一度繰り返す。行かせて欲しい、と。 「・・・・・・・・・しょうがない。」 溜息混じりの声に顔を上げれば目の前に勢いよく何かが飛んできた。 慌てて受け止めると、それは俺も『前回』使った空を飛ぶための道具。 「夜一、さん。」 「それを使って先に行け。儂は後から行く。」 「・・・すまねえ。」 そう告げて外に出る。 さあ、『今回』の俺には何が出来るんだ? 「飛べっ!!」 道具に霊力を込め、俺は自問しながら一直線に懺罪宮へ向かった。 |