死神の力を取り戻した後、俺は残りの九日間を浦原さんとの一対一の戦いで全て消費していた。 昼夜ぶっ通しで戦ったのちに休憩という、人間では無理がある方法でも死神の身体なら可能らしい。 思えば、斬魄刀を持っていることやこうして死神の俺と同じ状況にいながら平気な顔をしていることからも、浦原さんが死神だというのは予想できたんじゃないだろうか。 『前回』の俺はもういっぱいいっぱいで夜一さんの口から直接言われるまでちっとも解っちゃいなかったのだが。 とにかく、そんなこんなで勉強会は終了し、幾らか戦いのスキルも上がったところで八月一日を迎えた。 これから一週間で浦原さんが穿界門を作り、そして俺達が尸魂界へ赴くことになる。 それまでの休息を祭りやら宿題やらで消費し、時間が過ぎるのを待った。 七日後の午前一時。 俺は部屋の窓を開け、なおかつ押入れの扉の部分とその下の床に以前から購入しておいた模造紙を敷いてアレが来るのを待っていた。 当然アレが自分の顔に当たらないようベッドの端に非難している。 ガラス越しに目的の物体が飛んでくるのを待っていると――― 「あっ、」 夜空にキラリと光るものが見え、次の瞬間にはなんとも生々しい粘性のある水音と共に白い模造紙の上には真っ赤な彩がぶちまかれていた。 「・・・作戦成功。」 “これからすぐに(浦原)商店前に集合”という部分を読んだ後は速やかに汚れた模造紙を回収し、ゴミ袋に突っ込む。 赤いペンキ(?)がついた面を内側にしてなるべく外からは見えないようにしておくのが人として大切なことだと思うぞ。 片付けが終了したら手早く着替えて家を出る。 屋上から降って来た親父にお守りを貰ってからの流れは『前回』と一緒だ。 浦原商店に向かう途中で井上と合流し、商店前でチャドと会う。 それから少し遅れて変な格好をした石田が登場。 「にしてもホント、変な服だな。」 「変な服って言うなっ!!これは滅却師の・・・」 「はいはい。解ったから尸魂界に辿り着くまではそのヒラヒラしたマント外しとけよ。」 拘流に絡め取られてチャドに迷惑がかかるからな。 「はあ?どうしてそんな必要が、」 「あるんだよ。」 石田の反論を切って捨て、一時的にそのマントを外させる・・・つもりだったのだが、もともと仲が良くなかった所為か、俺の意見の方が石田に切って捨てられた。 ・・・もういいや。 チャドには申し訳ないが『今回』も頑張ってもらおう。 浦原さんも現れて俺達を店の中に案内していることだし、この話はお終いだ。 |