ルキアは廊下側、俺は外からと挟み撃ちしようとしたが、あえなく失敗。 こちら側に逃げてきたコンを捕まえようとしたが、それはスルリと躱された。 三階から見事着地に成功したコンを見やり、そういえば下部強化型だったと彼が素早い理由に納得。 教室を横切ってきたルキアは窓枠から身を乗り出し、三階から飛び降りてもピンピンしている俺の体を驚愕して見ていた。 「奴はまさか・・・いや、間違いない。奴は・・・―――改造魂魄だ!!」 しばらく適当に走り回って虚出現予定の知らせを待つ。 『前回』では俺達が駆けつけたとき、既にコンとその虚が戦っていたから、アイツを見つける最も簡単な方法なのだ。これが。 まぁ戦っているとは言っても、コンの方がどう見ても劣勢でかなり危ない状況にはなっていたが・・・ 虚を見つけた大体の場所は覚えてるし、ちょっとそっち方面に向かっておこうか。 もしかしたらコンが大怪我する前にその場に到着することも出来るかもしれない。 いつ頃コンが左肩に怪我を負ったのか詳しく知らないので意味の無い行為になるかとも思ったが、とりあえずはそういうことで足の方向を定める。 そして来る、尸魂界からの指令。 「一護、残念だが5分後に虚だ!場所は近いぞ!!」 前方を指差し「この先だ」と告げるルキアについて俺も走り出す。 しばらく走れば、夏梨と遊子が通う小学校の近くに建っているビルの屋上に人影。 芋虫型の虚と対峙する自分の体を見て、俺は走るスピードを上げた。 「ったく。結局怪我してんじゃねーか。」 見つけたコンの姿は、やっぱり肩から血を流していた。 もしかしてこのまま体に戻ったらまた痛い目見なきゃいけねーのか・・・? 後でルキアに鬼道で治して貰ったと言えども、やはり痛かったものは痛かったので、それを考えてほんの少しの憂鬱に襲われる。 改造魂魄は元々死体に入れる予定だったはずのものだから器が壊れても命に別状は無い・というのが唯一の救い・・・でもねぇよ。(俺の体まだ生きてるし!) ダンッと地面を蹴って大きく跳躍し、近隣の家の屋根に着地。 それからもう一度跳んで俺は今まさにコンを貫こうとしている虚の足を叩き斬った。 「あ・・・あんた、なんで・・・」 痛みに悶える虚の叫びをバックミュージックにコンが不思議そうな顔で俺を見る。 「オレを助・・・」 「ダァア!くそっ!そんな怪我するんだったら端から戦おうなんてするんじゃねーよ!」 何か言おうとしたコンの胸倉を掴み上げ、怒鳴る。 自分の体を傷つけられた怒り。 さらにそのために被る治療までの痛みに対する憂鬱。 そして、分かっていたのに結局コンが傷ついたという事実。 色々混ざり合って、とにかく怒鳴った。 しかし、 「な・・・ッ何言ってんだ!あんたがサッサと来ないからオレが戦ってたんだろ! オレが戦ってなかったらなぁ・・・あそこの小学生のヤツラ・・・」 というコンの台詞にはっとして冷める。 そういえば、『前回』も言われたはずだった。 ついつい頭に血が上ってた時に言われた言葉だったからすっかり忘れてしまっていたが、コイツが虚をひき付けて置いてくれなければ幼い子供たちが犠牲になっていたかもしれないのだ。 「・・・ギ・・・くそォ、てめェら・・・二人まとめて喰ってやるァ!!」 結果的にこれが最良だったのか?と思いながら、痛みから復活して飛び掛ってきた虚に一撃をくれてやる。 「「うるせエっ!!」」 声がコンと見事にハモり、虚は俺の斬撃によって頭を割られ、コンの蹴りによって後方へと飛ばされる。 そこで、コンが虚の飛んで行く先に何かを見つけ、慌てて走り出した。 「・・・あぁ。アリの・・・」 その行為に思い当たって、こっそりと呟く。 すぐにコンの後を追って屋上から落下しかけた体をすんでの所で掴み上げた。 理由は分かってる。しかし・・・ 「何つームチャすんだ、テメェは!?死ぬ気かよ!?」 そうは言っても実際に肉体を失うのは俺自身なのだが、それはこの際置いといて。 ちょうど虚の落下地点にいたアリの行列に目をやる。 「オマエ、コレを潰さねーためにあんなコトしたなんて言うつもり・・・」 追いついてきたルキアの気配を感じ、『前回』と似たような台詞を吐く。 ルキアがコンを仲間にしようと思うキッカケとして今から言うコンの台詞があっただろうから。 それを促すためにそれなりの台詞を吐き、俺はコンの言葉を待った。 |