「俺がこうして『屍姫』やってんのは俺を殺した奴を見つけ出すためだ。
あとは俺を甦らせてくれたアンタへの恩返しというか何と言うか・・・そういう事が無いわけじゃねーけど。
でもさ。何でその上に『死神』なんつーモンまでやんなきゃいけないわけ?し・か・も!こんなコスプレまでして。」



そう言って一護は自分が現在身につけている死覇装と呼ばれる黒い着物を摘み上げた。
契約僧である浦原の過去がまぁアレなので死神について知らなかったわけではないが(なにせ幽霊が見える体質であるし)まさか自分がそれと係わりを持ってしまうなど考えても見なかったのだろう。

浦原商店の一室で胡坐をかいたまま、一護は常から刻まれている眉間の皺を更に深いものにした。


「今更アタシに愚痴ってもしかたないっスよー。もうなっちゃったモンはなっちゃったんだし。」
「分かってるけど・・・」

扇子を右手に口元を隠した状態で告げる浦原から一護は未だ納得いかないといった様子で視線を逸らす。
その視線が向いた先、隣の部屋には一護への力の譲渡により急激に弱ってしまった本物の死神・朽木ルキアが義骸に入れられ寝かされていた。
浦原も一護と同じ方向に目をやり、帽子から僅かに覗く目を細める。

「それに崩玉のこともありますしねぇ。」



・・・・・・・・・崩玉ってアンタが作ったって言うアレのことですか?
何処ぞの誰かの魂魄に埋め込んだとは聞いてましたけど、それってもしかしなくても朽木ルキアだったりしますか?



「やっぱ俺に何かさせる気だったのかよ!?道理であの時助けに来ないと思った!」
「キミを死神にするのが一番手っ取り早いと思ったんでv」
「語尾にハートつけても許さねェ!」
「ええっ!?でも崩玉が悪用されたら屍姫である一護サンにも影響が出るかもしれないんスよ?」
「う゛・・・・・・そうなのか?」

流石に自分の存在が揺らぐような事象だけは避けたい。
屍姫は様々な条件が一致してようやく存在できており、今の状態が変化するとすればもちろんこれからどうなるのか分かったものではないのだ。
ただでさえ死神の力まで手に入れてしまったというのに。(この男がそれを止めなかったところからすると、特に気にするようなものでもないだろうが。)

冷や汗を流す一護に向かって浦原はニコリと微笑んだ。

「ええ。」

その笑みを受けて一護は深い溜息をつく。

「・・・わかった。やるよ、死神。」
「頑張ってくださいねv学生と屍姫そして死神の三重生活・・・あ、崩玉の監視も兼ねるから四重生活っスね。もちろんバレないようにv」


こいつ・・・!
最後の二つはカンッペキお前の所為じゃねーかっ!!

そうは思っても結局やることに変わりはないので、一護は色々吐き出す代わりのように殊更大きな溜息をついた。






















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