「死にたい」と思った事はありませんか?
もしくは「今の自分ではない自分になりたい」と。
もし今もそうならば、誰もいない夜の十字路に立ってみましょう。
そしてその時、もし全ての信号が赤になっているならば、その向こうから「カオハギ」が―――
「カオハギ」はその顔に美人の皮をつけており、彼女に気に入られればその皮と自分の顔を交換できるのです。
ただし、気に入られなければ、そのまま皮を喰われて死んでしまいますけどね・・・変死体として。
上手くいけば新しい顔を手に入れて第二の人生を送れるでしょう―――・・・











「バカバカしい・・・」

と、赤い髪の少年が吐き捨てる。

「えー?でも面白そうじゃん?」
「そうそう・・・あっ。一回みんなでやってみない?」
「おー。それイイ!つーか今日やろう。今日。」
「はぁ!?マジかよ・・・」

活発な雰囲気をまとう黒髪の少女と長い栗色の髪の少女との会話にその赤髪の少年がいかにも“うんざり”な顔をした。


「マジです。大マジ。・・・何?アンタ怖いの?」
「っ!怖かねーよ!」
「そりゃけっこう。」

少年の返答にニヒヒとわざとらしく黒髪の少女が笑う。
その側らでは、その少女とはまた違った上品な雰囲気をまとう黒髪の少女――前髪の一部を異様に長く伸ばしている――がルーズリーフを一枚取り出して少年の名をそこに記した。

「恋次の参加・・・決定っと。」
「おいコラ!ルキア!何書いてんだよ!?」
「ん?参加者名簿だ。」
「がぁー!そうじゃなくてっ!」

少年―――恋次は、その少女―――ルキアの「当然であろう?」という顔に叫び声を上げて頭を掻き毟る。
しかしそんなことで何かが都合よく変わる筈もなく、栗色の髪の少女が元気良く手を上げてルキアの名を呼んだ。

「朽木さーん!わたしとたつきちゃんも!」
「井上さんもですわねvわかりましたわv」
「あと石田くんと千鶴ちゃんと・・・」
「はいはいv」
「ちょっ・・・井上さん!?」

「あー・・・もうどうにでもなれ。」





とある高校の昼休み。
最近巷で噂になっている「カオハギ」の話を確かめようと六人の高校生達がたわいもない計画を面白半分に練っていた。
その噂の真実も知らずに―――・・・




















そして、夜。



「キャーーーー!!!」


全ての信号が赤になった十字路で少女の悲鳴が響き渡った。






















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