「・・・ッ帰る!お邪魔しましたっ!」

そう言って、オレンジ色の髪をした少年はこの部屋から出て行ってしまった。

「本当に・・・何?アレ。」

馬鹿みたいに霊圧のでかい子供。
嘘みたいな色彩の子供。
・・・悲しい顔をしてばかりの子供。
―――最後のはボクのせいか・・・?

「ったく。記憶を失くすは・・・キミ達はそういうことしてるは。」

言って襖の向こうに視線を投げる。
ハッとしたような気配があったと思ったら、襖が開いてテッサイたちが顔を覗かせた。

「やはり気づかれておいででしたか。」
「当たり前だろう?それとも記憶があったときのボクはそういう事にも気づけなくなっていたのかい?」
「・・・・・・・・・」
「そう沈まなくてもいいよ。・・・で?何か言いたいことでも?」

促せばテッサイの陰からジン太が出てきてボクの前に立った。

「ジン太が言うの?」
「・・・・・・店長。」

この子は呼び方を変えないのか。
別にいいけどね。

「何?」
「アイツに・・・オレンジ頭に謝りに行ってくれ。」
「なんで?」
「っ・・・なんででもだ。アイツはアンタにとって大切な人間だった。
アンタは馬鹿みたいにアイツを大切にしていて、それで絶対アイツにあんな顔させたりしなかった。」

へぇ。そうなんだ。
ただの師弟ってワケじゃなかったみたいだね?

「浦原様、私からもお願いします。黒崎殿のところへ、どうか。」
「・・・お、お願いします!」

テッサイとウルルまで。
大事にされてるんだね。あの黒崎一護とか言う子供。


・・・ズキンッ


痛っ!
また頭痛?
この鋭い痛み、どうにかならないかねぇ。

「浦原様・・・?」
「なんでもないよ。」

さっきの頭痛で眉でもしかめただろうか。
テッサイが気遣わしげな声をかけてきたのでそう返す。
目の前には相変わらずな三人の顔。


・・・・・・・・・・・・はぁ。


「わかりました。それじゃ、行ってくるよ。」
「そうですか!では、黒崎殿のご自宅は・・・」
「いいって。知ってるから・・・・・・。」

「・・・は?今何と・・・?」

あ、あれ?
ボク、今なんて言った?
知ってる?
あの子供の家を知ってるって?
覚えてもいない人間の家を知ってる!?
なに、馬鹿なことを・・・

「・・・・・・霊圧を辿れば分かるから。あんな垂れ流し状態なんだし。」
「左様で。」
「後は任せたよ。」

そう言い残し、ボクはあの子供のところへ向かった。






















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