黒揚羽と共に現世に降り立つ影。 白い羽織を纏い、手には巨大な刃。 太陽を思わせるような髪は風に揺れ、黒と白の巨体を見上げる。 「次は俺が厄介払い?・・・そう簡単にはいかねぇけど。」 夢の残滓5
「斬月、・・・卍解。」
主の呼びかけに答え、斬魄刀が震える。 幅広の巨大な刃は細身の漆黒へと姿を変え、持ち手自身もその身に纏う衣装が変化した。 色はツヤのある黒。 長めの裾が風になびく。 「・・・何分で終わるかな。」 大虚を正面に見据え、一護が笑う。 黒い影が大地を蹴った。 高く飛び上がり、メノスの右腕へ刃を食い込ませる。 「はぁっ!」 そのまま振り切って切断。 左手がこちらを潰そうと襲い来るが、メノスから飛び出ていた棘に移って回避する。 そこから大きく跳躍。 獲物を掴み損ねた左手に乗り移り、足元に剣を突きたてた。 それをメノスが振り落とそうとするが、 一護は勢いに逆らわず、剣を抜き、そのまま飛んで地面に着地。 すぐさま視線をメノスに向け直し、第二撃に備える。 「・・・!虚閃を撃つ気か!!」 メノスの口の近くに灯る光球。 それは光を増しつつ巨大化する。 「いいぜ。受けて立ってやる!」 一護が剣を構え、大きく振るう。 剣圧が黒い月牙となり、メノスめがけて放たれる。 それと同時に虚閃が放たれた。 黒き刃は光を打ち消し、メノスの白い仮面に亀裂を生む。 「五分とかからなかったな。」 一護が呟く。 そして仮面が割れた。 メノスの体は傷口から徐々に白い破片となり、空に融けて消えていく。 「お見事。」 後ろからかかった声に一護が振り向く。 「誰だ!?」 下駄に作務衣、そして目元を隠す帽子という奇妙な格好の男が一人佇んでいた。 帽子に手をやったまま男は訊き返す。 「わかりません?」 口元が弧を描き、男は笑った。 一護は己の予感に眉をひそめる。 帽子からはみ出しているのはくすんだ金髪。 声は低くも無く高くも無く、そしてどこか甘い。 加えて、押さえているだろう霊圧はかつて自分の一番近くにいた人物のもの。 男が帽子を取る。 その顔を見て一護は苦々しく言葉を吐いた。 「浦原、喜助・・・!」 |