空座町に巨大な霊圧が近付いてきているのを感じ 僕、石田雨竜は足早にそちらを目指していた。 すると、同じように霊圧を感じたのか 茶渡君と井上さんとも合流してしまう。 何があったんだろうと現場に近付けば、そこは研究所。 許可が無ければ入り込めない場所だ。 監視カメラや、センサーが配置されている。迂闊に入っては拙いと思って足を止めたのだが… 「茶渡君!?井上さん!?」 構いもせずに侵入しようとする二人の姿に驚愕し制止を掛ける。 「勝手に入っちゃ拙いよ!」 「でも黒崎君もここにいるし」 「…む、問題無い」 「問題だらけだ!」 黒崎だけが問題児かと思っていたら、どうやらこの二人も同類だったらしい。 本人は気付いていないが、同じように行動している自分は棚上げ状態の石田だった… さて、どうしようと思っていると 「なんじゃ、お主等も来たのか」 真紅のドレスを着た夜一さんがいた。 「夜一さん!?」 「わぁ〜、夜一さん綺麗♪」 「……」 井上さんの言葉に頷く茶渡君、夜一さんも満更ではなさそうに笑っている。 いや…だから、何でそこで疑問を感じないんだい君たちは! 戸惑う僕を他所に、話は終わっていたらしく 「セキュリティに連絡したからな、付いて来い」 夜一さんに伴われて敷地内に入る事が決定していた。 誘導されるままに歩き、着いた先は明るい中庭。 研究所の一部とは信じられない位、穏やかな空間が広がる其処。 そんな庭で、ガーデン・パーティでもしているのかと聞きたくなる様子に目を奪われた後 「「黒崎(君)!?」」 白いタキシード姿の黒崎に驚いた。 しかし驚いていたのは僕だけだったらしい。 「良く似合ってる」 「黒崎君、凄く素敵だよ!」 茶渡君と井上さんは、ナチュラルに混じっていた。 力が抜けて、膝を付きそうになったが気力を奮い立たせ我慢する。 僕達の姿を見ると、黒崎は驚いたように近寄ってきた。 「どうしたんだ、三人とも?」 「この近くにおったのでな、ワシが連れて来た」 身体の線がハッキリと見て取れる、深いスリットの入った真紅のドレスを纏った夜一 それをエスコートするように浦原が夜一の横に立つ。 いつもの作務衣ではなく、深緑のスーツ姿の浦原は文句無しのイイ男に見えた。 「夜一さん…紅も似合うなぁ!でも小麦色の肌には白も似合いそうだよな!!」 珍しくニッコリと笑った黒崎が告げれば、夜一さんも満更ではなさそうだ。 悠然と微笑を浮かべ、指を黒崎の頬に滑らせ囁く。 「なんじゃ、わしに白のドレスを纏えと言うのか? うえでぃんぐドレスとやらを着たら、お主に嫁して良いのか? それとも……わしに嫁ぐか?」 「なっ!?」 「冗談にしておいてやる。じゃが、お主も白が良く似合うておるぞ」 真っ赤になって逃げを打つ一護を、機嫌良く夜一が笑った。 それを微笑ましく見ていた浦原が普段着の高校生に挨拶する。 「いらっしゃ〜い♪ 折角だから皆さんも洒落込んだらどうですか?」 イイ男を訂正、口を開けば台無しだ。 そんな僕の視線を感じ取ったのか、浦原さんがこちらを向く。 「石田さんもドウゾ。デザインに拘らないならサイズも豊富にありますし」 「それより、何の集まりなんだ?」 どうやら黒崎も知らないらしい。 この雰囲気に流されてしまいそうになったが、当初の目的を思い出す。 「黒崎!この辺りに巨大な霊圧が近付いて来てるんだ」 その言葉に駆け出そうとした黒崎の腕を、浦原さんが掴んだ。 夜一さんも悠然と構えたまま動く気配すらない。 しかし、一般の人もいるだろう。こんな研究所に虚でも現れるのだとしたら、対処は早い方が良い。 「心配する事はありませんよ。ここにはアタシも夜一さんもいますし 気付きませんでした? この研究所を覆う結界、これは…」 説明の途中、新しい霊圧と扉が現れ 開いたその扉からは、見覚えのある死神達が現れた。 「朽木さん!?」 驚きつつも嬉しそうに元クラスメイトへ駆寄る井上さん。 だが、何故6人も死神がここに!? |
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