入隊初日。

十二番隊の隊舎内。

一護は現在、浦原隊長の前に立っていた。

彼が正式にこの隊の隊員―――副官になるための書類を提出しているからだ。















呼称















浦原は一護が提出した書類全てに印を押し終わり、

それらを脇に寄せると、執務用の机の上で組んだ手にあごを乗せて微笑んだ。



「これでキミは正式に十二番隊副隊長となりました。 では、これからよろしくお願いしますね。黒崎サン。」

「はい!よろしくお願いします、浦原隊長!」



緊張しながらも背筋を伸ばし、はきはきと喋る一護。



「ああ、黒崎サン。アタシのこと“隊長”って呼ばないでくれませんか?」

「へっ!?」



苦笑しつつそんなことを言う浦原に一護はついつい素に戻ってしまう。

浦原は一護の反応にクスリと笑い、まるで己だけの秘密を明かすように話し出す。



「実はね。アタシ、隊長になりたくてなったわけじゃないんス。むしろ嫌なんですよ。

だから、四六時中一緒にいることになるキミには自分の役職を毎回言われたくないんです。

・・・そうですねぇ。

いっそのこと“浦原”とか“喜助”って呼んでくださって構いませんから。」


「め、滅相もございません!

あの、でもそういう事でしたら・・・“浦原様”とお呼びしてもよろしいでしょうか?」



“様”付けの呼称は己の父が生まれてはじめて教えてくれた目の前の方の呼び方だった。



「・・・様?」



少し沈黙した後、浦原が聞き返す。

一護は内心マズった!?と思いながらも答える。



「はい、“様”です・・・あの、駄目でしょうか?」



心配そうに尋ねる一護を見て、浦原はクスクスと笑い出す。



「いいえ、構いませんよ。“隊長”じゃなければ良いだけですから。

それにアタシはキミの力を見込んでこの地位につけたんです。 呼び方なんて、君の自由ですよ。

では、あらためてよろしくお願いしますね。黒崎サン。 キミの働きに期待していますよ。」


「は、はい!!」





そうして、一護の十二番隊での新たな生活が始まった。



































+書かなかった続き+


このあと一護は浦原のもとで充実した生活を送る。

そのうち一護の浦原への思慕は無意識の恋情へと変わっていき、また浦原も一護に思いを寄せていく。

ただし「浦一」ではなく「浦→←一」。

どちらも思いを打ち明けぬまま、しかし傍から見ればかなりのラブラブっぷりを披露。

そして突然訪れた転機―――浦原の永久追放。

浦原は一護に何も知らせぬまま姿を消す。

(夢の残滓と同様に)一護は「捨てられた」と思い、同時に浦原に失望し、彼を憎むようになる。

それから百年近くの時が過ぎ、一護は隊長として立派に働いていた。

ただし(ここも夢の残滓と同様に)ついたあだ名が「冷たい太陽」etc...

怒ることも泣くことも無いが、微笑むことすらなく、笑う=冷笑な感じ。

そしてある時、一護に現世へ降りろと命令が下る。

真央霊術院の実習中に出た巨大虚の群れを退治せよ・と。

一護は自身も昔そんなことがあったと思いを馳せる。

「今度は俺がこの役か・・・」と。

そして現世へ降りて全ての虚を倒したあと、一護が一人佇んでいると見覚えのある気配を感じる。

まさかと思いその気配を辿ると、居たのはやはり浦原。

そのまま戦闘になだれ込み、一護は浦原に敗北する。

そして一護は「なぜ俺を連れて行って下さらなかったのですか・・・浦原様―――・・・!」と涙をこぼす。

(浦原と別れてから初めて流す涙であり、また初めて表面に表れた激情。)

それを見て、「アナタが大切だったからこそ・・・アナタを愛していたからこそ、余計に連れて行けなかった。」と浦原が想いを告げる。

一護は思いもよらぬ告白に驚くが、自分の想いも浦原に告げ、二人はここで初めて両思いとなる。


コレでおしまい。






















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