涼宮さん、僕、彼にああ言われて胸の辺りがギュッてなったんです。どうしてですか。

それはね、古泉くんに『心』があるからよ。

心・・・?

あたしは感情が全てプログラムによるものなんて、そんなつまんないもの作りたくなかった。だからあたしの全てをかけてあなたを作った。あなたは、あなたたち『古泉くん』はあたしの最高傑作。心を持った存在なのよ。まあ、だから個体差なんてものができちゃうんだけどねー。予想以上にみんなの性格が違うんだもの。作った当初はちょっと驚いちゃった。でも、今はそれこそが『古泉くん』なんだと思うわ。みんな『古泉くん』だけど、それぞれ違う古泉くんなの。だからね古泉くん、たった一人しかいない自分なんだから、絶対幸せになりなさいね。あの優しい人の傍で。




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 あの日の雨が嘘みたいに晴れ渡った日。
 俺は落ち着きのない自分を自覚しながらマンションの鍵を鞄から取り出しかけ、そして止めた。ドアの前で深呼吸をし、らしくない自分に苦笑を浮かべながらドアノブを握る。
「・・・、」
 ノブを回せば、今朝鍵を掛けて家を出たはずなのに何の抵抗も無く扉が開く。玄関には一週間前と同じように高そうな男物の靴が綺麗に揃えられていて、その先には―――。
「おかえりなさい。」
 同じ男として嫉妬したくなるような、その前に色々と諦めてしまいそうな程の美形。
 如才ない笑みを浮かべたそいつは一人暮らし用の俺の部屋の中で嬉しそうにそう言った。
 だから、俺が返すべき言葉は一つ。
「ただいま、古泉。」








その後、古泉くんは自分の学習機能をフル活用して料理と掃除を覚えました。