一護が虚に襲われた次の日も藍染は表面上変わることなく接した。
ただしその日も少年の霊圧は相変わらずだったが。

しかし更に次の日、藍染が現世に訪れると一護の霊圧は殆ど感じられなくなっていた。

「どういうことだ・・・?」

疑問に思いつつもその微かな霊圧を探って一護の元へ向かう。
どうやら今は自室に居るらしい。
前回のように他の死神に見つからぬよう霊圧を消し、当然周囲の気配にも気を張って。
やがて外から一護の部屋が覗ける所にまで辿り着き、藍染は足を止めた。

「なるほど・・・お前の仕業か。」

見えたのはベッドに横たえられた一護の体。
そしてその横に立つ、一護の父親の姿と―――


「・・・浦原、喜助。」


死覇装に白羽織ではなく帽子に作務衣という出で立ちの元十二番隊隊長の姿がそこにあった。
眠る一護の頬を優しく撫でるその男。
やがて少年の父親に促されるようにしてベッド脇から離れ、そして部屋を出て行く。
他の死神や虚に見つからぬよう一護の霊圧を抑えていたのは浦原喜助だったのか、と思いがけず与えられた解答に思考を占められながら、藍染はその気配が完全に感じられなくなるまで待った。
そうして「もう大丈夫か」と思えるようになった頃、音もなく一護の部屋へと忍び込んだ。

静かに眠る一護の脇に立つ。
頬に触れれば判る、浦原喜助が残した気配とその霊力。

「・・・潮時か。」

漏れる言葉に感情は無い。

「元々私にはプラスにならないただの気まぐれだったし、もうこの辺で御開きとするよ。」

プラスどころか浦原喜助だなんていうマイナス要素があるなら、後はもう捨てるのみ。
そう続け、藍染は閉じられた一護の目蓋の上にそっと手を重ねた。

「一護、」

顔を近づけ、触れるか否かの口づけを送る。



「さよならだ。」



声に感情が戻らぬまま、藍染は重ねた手の平に力を込めた。



















それから先、一護に何があったのか藍染は知らない。
むしろ知ろうともしなかった。

しかしあの時から二年後、必然的に得た情報は酷く藍染の胸をざわめかせた。
あの頃の記憶を失った一護が当然それを消し去った本人の事を覚えている筈もなく。
己のシナリオ通りに進む現実を藍染はやはり感情の無い瞳で見つめ続けた。


そして今。
虚圏の玉座に腰を下ろして藍染は目を閉じる。













もし、記憶を消さなければ。
もし、その手を離さなければ。

それは君を想うたび、私の胸を刺す後悔。

けれど同時に解っていた。
もしあの時、君の記憶を消していなかったとしても、君は私の隣に立っていてはくれないだろう・・・と。
強い瞳を持つ君は、きっと私の手を取るよりも大切な人を護ろうと両手を広げる筈だから。

だから、そう・・・せめて。

もう二度と私と寄り添うことなど無い君の道。
絶つのは、私の手で―――。



(でなければ、どうか君の手で。私に幕を引いてくれ。








「NOISE」の藤時継様に相互リンク記念として捧げます。
藍一で甘甘もしくはシリアス・・・になってませんね・・・!(項垂れ)
上手く言ったとしてもリクエストの二つを足して2で割った様な話。す、すみません。
しかも藍一話なのにこっそり浦→一も含んでいたり・・・。すみません(二度目)
ご不満でしたらどうぞ遠慮無くお申し付け下さい。
速攻で書き直させていただきます!

藤時継様、この度は相互リンクありがとうございました!
これからもヨロシクお願いします!



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