そして彼は微笑んだ VS朽木白哉





「ふむ・・・」

その日、朽木家当主であり護廷十三隊六番隊隊長である朽木白哉は
先の事件で知り合った黒崎一護を訪ねるため現世に降りていた。

しかし穿界門を抜けた先に待っていたのは虚の気配。
ただ、ここからはかなり距離もあり、さらには既にこの地区の担当死神が対処に向かっているようだった。

この地区の担当、彼の黒崎一護が自宅にはいないことを悟った白哉は――僅かな茶目っ気のためかどうかは 分からないが―― 一護の部屋で彼を待つことに決めた。
瞬歩は使わず、家々の屋根の上を駆けながら目的地を目指す。
しばらく行けば見えてきた黒崎医院の正面。
その二階に位置する、窓が開きっぱなしになっている部屋が一護の自室である。
と、白哉は部屋の中に誰かがいるのに気づいた。
霊圧を探れば一護ではないことが分かる。
部屋の主である彼は今も虚と戦闘中だ。
では、あそこにいるのは誰なのか。

知らない霊圧に訝しみながら、白哉は部屋に近づいた。
窓の外から中を覗きこむ。
そこにいたのは―――




「貴様、何者だ。」
「テメーこそ誰だよ。」

そう言って白哉を睨みつけたのは細身の服に身を包んだオレンジ色の頭髪の少年だった。














部屋の主が虚退治に出かけている間、コンはその体に入って一護の帰宅を待っていた。

一応は尖兵計画用に強化された己だが、実際は一護の戦いに特に必要なわけでもなく、
どちらかと言うと彼が死神として出かけている間のフォロー役として働く自分に、
役に立ててるんだからまぁいっか・などと思いつつ、寝転がっていたベッドから起き上がった。

「・・・誰か来る。」

知らない霊圧に自然と不機嫌な声が漏れる。

そうして幾ばくもしないうちに現れたのは黒髪黒目の男。
死覇装に白羽織、そして頭の筒状の飾り。名前は知らないがその存在は知っている。あれは貴族のシルシだ。

死神から何者かと問われ、反射のようにこちらからも問うた後、
コンはその男の格好から、これが朽木白哉ではないかと予想を立てた。
事実それは正解であり、コンが「テメーは朽木白哉か?」と問えば、白哉は一瞬驚きながらも肯定した。

「オレはコン。アンタのことは一護から聞いた。ルキア姐さんの兄貴なんだろ?」
「・・・そういう貴様は何なのだ?何故、黒崎一護の姿をしている。」

こちらは「テメー」を「アンタ」に変えたのに未だ「貴様」呼ばわりか・と心中で愚痴り、コンは白哉を半眼で睨んだ。

「何だ?」

と白哉が問う。
ただでさえ嫌いな死神。しかも――いくらルキアの義兄だからと言っても――この高圧的な態度。
さらに付け加えれば、この死神がやってきたのは十中八九一護に会うためだ。
不機嫌の度合は上がりこそすれ下がるはずもない。

「別に。ところでさ、アンタ、オレが何者か一護から聞いたことねーの?オレはアンタの事知ってたのに。」

クスリと哂い、コンは白哉を見据える。
逆に、白哉はコンの言いたいことが分かったのだろう。
その美しく整った眉をピクリと動かし、鋭く冷たい目つきでコンを睨んだ。

「言うまでも無かったということだろう。何者かは知らんが、どうせ貴様は一護にとってその程度の存在なのだ。」
「ウルセーよ、年寄り頭が。ンなヘンテコな飾り付けてるぐれェなら
もう少し脳ミソの皺でも増やしやがれ。まともな思考が出来るようにな。」
「貴様・・・!」

コンの言い様に白哉の白い顔には朱が走った。
それと同時に右手は左に差しているものに伸びる。

「あれェ?こんな所で抜刀?
ここがどこだか分かってるんだろうねェ、隊長さん。」

激昂する白哉を楽しそうに見るコン。
そのうっすらと開かれた目にはありありと嘲りの感情が見て取れた。

「帰りなよ。ここは貴族と言う名に振り回され、
尚且つすぐにキレちゃうような年取っただけのお子様がいる場所じゃねーんだ。」

―――ここは託児所でも老人養護施設でもなくて、一護の部屋だよ?

その薄い唇はゆるく弧を描き、目の前の男を嘲笑った。








写楽様に捧げますーーー!!!
え?いらないって?そんなコト言わずにっ!
せっかく素敵なアイデアを下さったのに、この自分の能力のなさが不甲斐ない・・・!
しかも中途半端なところで終わっているような?(オイ)
すみませんすみません!
そして、ありがとうございましたっ!



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