シロキウツロ 4











「6年前の6月17日。天候は雨。その日、アイツの中心が失われた。」
「・・・確かその日は、」
「黒崎真咲が死んだ日だ。」

両目を見開く夜一を前にして、白い姿の彼は静かに告げる。

「あの日、母親の血に濡れ、アイツは中心ココロを失った。そして、喪失と孤独の中で必死に求めたのが他者の存在。 それは・・・そう。まるで虚が他者の魂を求め喰らうかのように。」
「・・・・・・・・・。」
「俺はアイツの欠損部分。そしてアイツの求めによって集められた他者・・・。 正確に言えば他者の魂の欠片の集合体でもある。」


突然明かされた新たな真実に夜一は声も出ない。
そんな事が有り得るのだろうか。
人間の子供が失くした心を埋めるために他者の魂の欠片を取り込むなど。
類い希なるほど大きな霊力を持つ故にそれを成し遂げられたと・・・そういうことなのか。

嘘だ・と、その思いを表すかのように夜一の首が無意識に横に振られる。
それを見た白い彼は小さく苦笑し、「だろうな。」と呟いた。
しかしこれを信じてもらわなければ話した意味がない。
だからこそ白い彼はここに来て初めて――――――己の霊圧を、解放した。


「―――ッ!?」


感じた霊圧はほんの僅か。
けれども明確に判るその「性質」に、夜一が息を呑んだ。

「これは・・・」
「この通り、俺の霊圧は虚に近い。 それは俺が“虚ろ”であり、同時に失ったものを別の何かで埋めようとした結果だから。 ・・・つーことなんだけど、これで納得してくれたか?」

己の霊圧を再び隠し、白い彼は軽く肩をすくめる。
夜一は夜一でこの突拍子もない、けれどもきちんと証拠まで示された話をなんとか納得しようとしており、 何事かをブツブツと呟くと、しばらくして顔を上げた。

「あまりに予想外でもあるし、まだ疑問に思うことも無いわけではないのじゃが・・・。信じよう。おぬしのその言葉。」
「それはドーモ。」

大げさにお辞儀をしてみせた白い影に夜一はフッと笑みを浮かべる。
しかし一番大切な事を確認していなかったと顔を引き締め、彼女は目の前の存在に問うた。

「自分達の正体を偽ることなくそこまでバラした今、 此処に来た理由が実は違っていた・・・などと言うことは有るまいな?」

その問いに白い彼は腰を折ったまま顔を上げ、口元だけで小さく笑う。

「それはもちろん、朽木ルキアと崩玉の奪還・・・尸魂界に来た理由に変わりは無ェよ。 これはちゃんとした一護の意志だからな。俺はそれに従うまでさ。」
「一護の意志、か・・・」
「俺が動くのも、全ては一護のため。一護の意志を通すため。 ・・・でなきゃ、今更わざわざ正体バラしたりなんかしねーよ。」

体を起こした白い影は暗にこの状況すら彼が望んで作ったのだと漏らし、再び夜一の驚愕を誘う。


「さぁ嘘がお嫌いな協力者さん。真実は話したぜ。 後はコッチがスムーズに動けるようフォローを頼みたいんだけど?」


一護と同じ姿をしているくせに一護とはまた別の雰囲気を纏う者。
白いその彼とおそらく同じ人物を脳裏に思い浮かべて夜一が返す言葉は、諾。




















「あ、一護ってもう卍解修得済みだから。」
「はぁ!?・・・なら何故こんなことを、」
「コッチにも色々考えがあるんでね。まぁアンタも俺達の“暇潰し”に付き合ってくれよ。」
「・・・ったく、仕様がないのう。」

そんなわけで。
四楓院夜一、白黒ペアの「暇潰し」に参加決定。






















言い訳で言い訳な言い訳の。


「様々な“他者”の魂の欠片(記憶)の集合体」でもあるのでここの白一護は物知り・・・

なのですが、納得していただけましたでしょうか。

(ちなみに、あくまで「欠片」であり「完全なコピー」ではないので知らないことも多々あります。)

納得できなかったらどうぞスルーしてください。

とりあえずここの白一護は“虚っぽい”とだけ頭の片隅にでもおいて下されば結構でございます。


それはそうと・・・嗚呼。白一護の「一護LOVE度」がどんどん上昇していく(汗)












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