「何なのだ、おぬしらは・・・」


目の前に広がる人工の荒野。
そこで繰り広げられる白と黒の交錯に夜一はゴクリと息を呑み込んだ。












シロキウツロ 1











―――28分前

始解・卍解について説明を終えた夜一が続いて持ち出してきたのは“転神体”という奇妙な人形。
大まかに人の型を模したそれは卍解修得のために必要なのだという。
それが斬魄刀の本体を強制的に具象化する道具であると聞いて、 一護は確かそういうものがあると教わったこともあったな・と随分昔の記憶を引っ張り出していた。
自分の白い相棒は隠密機動の最重要特殊霊具についてでさえも、その頭に知識を詰め込んでいるのだろう。
教わった当初は「それがどうした」という気分だったが、こうして実物を目の前にすると意識も変わってくる。

そうして興味深そうに転神体を眺める一護に対し、夜一は説明を続けた。

「斬月をこいつに刺せばその“具象化”の状態に強制的に持っていける。 そうすれば儂の力で具象化状態を保ってやる。 ただしこの方法で“具象化”できるのは1回きり!期限は3日! その間に何としてでも具象化した斬月を打ち倒して“屈伏”状態にしろ!」

(具象化、屈伏、卍解・・・どれも経験済みだけどな。)
『そう言うなって。これも暇潰しだ。』
(ああ。)

そうだな、と頭の中で相棒に返し、一護は斬月の柄を握りしめた。


「それができなければ―――・・・」
「出来ない場合は考えない。それしか方法が無ェんならやるしかねえだろ。」

夜一の台詞を遮り、一護は不敵に笑う。
握った刃は転神体の中心に。
ズブリと躊躇いなく刺し貫いて、次の瞬間、人形ごと斬魄刀が弾け飛んだ。
ドッと空気に波が生まれ、風圧で死覇装が激しくはためく。

(斬月のオッサンと手合わせすんのも久しぶりか・・・?)

そう思う一護の前に現れたのは―――





「よう・・・相棒。」
「っ!?」

自分と同じ容姿。
真っ白な死覇装。
肌も瞳も、更には髪さえ白い「一護」が悠然と立っていた。


「お前・・・」
「俺が“斬月”。そうだろ?相棒。」

クリアに聞こえる声で、ニヤリと白い一護・・・否、“斬月”の口端が吊り上がる。
それを前にして驚きに目を見開いていた一護の顔にも先刻の不敵な笑みが戻ってきた。

「おう。頼むぜ“斬月”。アンタを倒して卍解出来るようにならねーとな。」
「そう簡単には終わらせねえよ。」
「上等だ。」

その一護の返答に“斬月”はフッと笑う。

彼の白い手には、いつの間に現れたのか、柄に鎖が付いた白い刀と黒い刀。
全く同じ形をしたその二振りのうち黒い方を一護へと放って、“斬月”は残った白い刀を右手に構えた。

「俺の白い天鎖斬月とお前の黒い天鎖斬月。これだけで俺を斬り伏せてみな。―――んじゃ、早速始めるぜっ!」






















黒「ところで、お前なんで髪まで白いんだ?」(※ここの白一護の髪は基本的にオレンジ色です)

白「・・・イメチェン?」

黒「オイ。」

白「いやァ・・・なんつーか、こう。対照性?をつけようと思って。」

黒「(馬鹿だコイツ・・・!)」(非常に失礼)

白「聞こえてんぞ一護。」(なんてったって精神世界の住人ですから)

黒「(ひぃ!)(白いのに黒いっ!)」












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