「ただしコチラから条件を一つ提示させていただきましょう。」

人差し指をピンと立てて浦原が言った。












メザメノアサ 2











「条件・・・?」
―――尸魂界へ行く以外に、俺にやらせたい事があるのか?

いぶかしみ、一護は眉間のシワを増やした。
それを見て浦原はクスリと笑い、「ええ、そうです。」と口を開く。

「これから十日間、アタシと一緒に戦い方の勉強しましょ。」
「何だそんなことか。」

はぁ・・・と溜息をついた一護に浦原は剣呑に目を光らせた。
そして「よっ」という掛け声と共に立ち上がった一護に勢いよく杖を突きつける。

「・・・!?」

ダンッ!と大きな音を立てて一護は畳に縫い付けられた。
浦原の杖はちょうど額の真上にあり、それが剣の切っ先であるかのような威圧感を与える。

(・・・って、コイツは斬魄刀なんだよな。確か。)

ならば、杖の形をしていても紅姫の強さが滲み出ているということか。

(さすが浦原喜助ってところ?)



眉をしかめたまま見上げると、浦原は何の感情も浮かばぬ瞳で一護を見下ろしていた。

「“そんなこと”で済むモンじゃありませんよ。 ・・・わかってます?今のままじゃキミは死ぬ・と。 それとも昨日の戦いからキミは彼らに勝てるとでもお思いで?愚かにも程がある。」

冷たく見下ろしたまま浦原は続ける。

「はっきりと申し上げます。 今のキミの実力じゃ尸魂界で戦うには何の役にも立ちません。 キミは弱い。弱者が敵地に乗り込むこと・・・それは自殺って言うんスよ。“朽木サンを救うため”?甘ったれちゃいけない。死ににいく理由に・・」








「他人を使うなよ・って?」



「・・ぇ・・・」



一護がニヤリと笑ったと思った瞬間、紅姫をひったくられ、浦原の視界は反転した。
目の前にあるのは先刻と同じ一護の顔。
しかしその向こうに見えるのは畳ではなく天井の木目。
その変化はたった一瞬の出来事だった。
杖を構え、自身の腹の上に一護が乗っかっている体勢に浦原は目を剥く。
一護が男を見下ろしながら「これでも?」と口角を上げて笑った。

「別に自分の力を過信するわけじゃない。今はアンタに対してこんなこと出来ても、 それはアンタが油断していて、更に自分が言うはずの言葉を俺に繋げられたことで隙が出来たからだし。 ・・・・・・俺は虚と戦ってきたけど死神となんかこの前以外まともに戦やり合ったことがねぇ。 だから、教えて欲しい・・・戦い方を。死神を―――人を斬る覚悟ってやつを。」

一護が浦原の上から体をどける。
そして持っていた杖を返し、言葉を続けた。

「そうだな・・・戦い方の勉強を十日間。その後はさらに十日で尸魂界に行くための門を作ってくれ。 あぁ、言っとくけど、さっきの俺、そのお勉強とやらを拒否した覚えはねぇぜ?“そんなこと”とは言ったけど。」
(だって、予想してた・つーよりはコッチから頼もうかと思ってたぐらいだし。)

立ち上がり、ずれた帽子を直しながら浦原は一護を見据えた。

「門に十日ですか・・・いえ、一週間。七日で完成させて見せますよ。」
「サイコーだね。」

浦原は調子を取り戻し、一護はそれを見て笑った。
障子を開き、その向こうの青空を背景にして一護が琥珀色の瞳で浦原を見据える。



「十日間。俺と殺し合い、アンタに出来る?」
「もちろんっスよ。」



蒼穹にオレンジ色の髪が美しく映えていた。






















騎乗位一護(えぇ!?)

しかも一護が浦原さんより強かったり。












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