藍染達を然るべき機関に引き渡した後、一護達は無事に現世へと戻れることになった。

崩玉のことはその場に居合わせて詳細を知った者があまりにも少数だったので、何とか誤魔化すことに成功している。
それに、どうせ後々バレても消息がつかめていない浦原自身が持っていれば尸魂界の誰にももう手にする事が出来なくなるので構うことはない。

断界を走り抜けながら一護は懐に入れた崩玉を死覇装越しに撫で、隣を走る夜一に笑いかけた。
そして、光溢れる出口へと飛び出す―――





















「終わりだっ!!」

ダダダダダダッ

少年の手に握られた鉄の塊が鉛玉を吐き出し、標的を物言わぬ肉塊へと戻す。
徐々に広がっていく血溜りを見下ろすのは一対の琥珀。
近くの高校の学生服に身を包んだ何処にでも居るような年恰好の少年は、けれども人より幾らか色素の薄い瞳で己が仕留めた『屍』が完全にモノへと戻ったことを確認して、静かに踵を返した。

ようやく夏の盛りが過ぎようとしているこの頃、未だ暑さが残る夜風に揺れるのはオレンジ色の髪。
少年、一護は今晩も『屍姫』としての仕事をこなし終え、歩を進めながらゆっくりと息を吐き出す。


「今日もご苦労様でした。」

数メートル先に、影。
突然現れた気配も声も、別段驚くようなものではない。
なぜならそれは一護にとってあまりにも馴染んだものだからだ。

「おう。・・・あ、今日は泊まってってもいいか?」

門限過ぎちまった・と続ける一護に浦原は帽子の影から微笑む。

「構わないっスよ。今夜は夜一サンもいますからちょっとした宴会でも開きましょうかね。」
「夜一さんにはお酒禁止な。あの人悪酔いしすぎだろ。」
「この前は危うく童貞奪われるところでしたからねー。」
「笑って言うなよっ!!」

街灯と空の月を光源に、二つの影が歩み始める。
時代錯誤な服装の男と銃器を担いだオレンジ頭の少年。
屍を狩り、たまに軽口を叩き合う。これこそが戻ってきた非日常的な日常。

ただ一つ、以前と変わったとすれば―――


「虚が出ましたね。」
「もう一仕事決定か・・・」

疲れたように呟く一護の額に浦原の杖の先が当てられる。
そしてそれが勢い良く押し込まれた瞬間、ズルリと一護の体から黒い着物を纏った一護が抜け出した。
抜け殻になった体を支え、浦原は死覇装を纏い大刀を背にした一護に向かって柔らかな笑みを浮かべる。

「いってらっしゃい。」
「おう。いってくる。」

そして、飛ぶ。漆黒の調停者。








名前:黒崎一護
享年:15歳
性別:男
瞳の色:ブラウン
髪の色:オレンジ
特技:幽霊が見える
職業:高校生 兼 屍姫 ・・・ そして、死神


天国の不在を知る少年は、今宵も数多の屍を狩り、そして虚を昇華する。






















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