「“ここで見た事は全て忘れろ”ですか・・・一護サンも無理なこと言いますねぇ・・・」
「それは俺の隣で何も言わなかったアンタも同罪だろ?」 浦原が運転する車の助手席に座って一護が返す。 あの後、やってきた寺院――浦原と一護が所属している組織である――の者達に処理を任せ、一護達の仕事は終了となった。 そんな一護の名を呼び、ひき止めようとする竜貴に放った少年の台詞は――― 「“俺は黒崎一護だけど、お前が知ってる黒崎一護はもう死んだんだ”・・・とはね。」 「だってそうだろ?俺は黒崎一護であると同時に寺院と・・・アンタと契約した“不死殺し”『屍姫』だ。」 「ええ・・・そうっスね。」 ハンドルを握ったまま浦原は小さく笑う。 「・・・・・・残り99体。 99体の屍を殺せば、キミは『天国』に行ける。」 「それが寺院・・・光言宗と屍姫が交わした『幸福と死の条件』だからな。 それに俺は、俺を・・・俺たち家族を殺した屍も見つけてやるつもりだし?」 「そうですね・・・がんばりましょうか。」 「当然。・・・・・・で、次の指令は?」 「ああ。次はですね・・・とある家に根を張る常駐型の屍を狩れ・だそうっスよ。期限は三日。」 浦原の台詞に一護は口元にニィっと弧を描く。 「オーケー。んじゃ、ちゃっちゃと片付けますか。」 太師系真言密教「光言宗」――――――屍姫 それは蔑み使われる、『不死殺しの不死』 その一人、黒崎一護 性別:男 享年:15歳 死因:四肢破裂・全損によるショック死 三ヶ月前に死亡し、寺院と契約。 その一ヵ月後、屍姫として活動を開始する。 屍姫のルール @108人の屍を殺せば天国へと行ける A一度選んだら途中退場は出来ない B例え死んでも文句は言わない 彼は天国まであと99人 殺せよ少年 屍を重ねて天国へ臻れ――― |