「黒崎サン。明日の夜、伺いますね。」
楽しみにしててくださいよーv

「おう。じゃァな。」


そう言って別れたのが昨日の午後6時30分。
で、現在はその“明日”も過ぎた午前0時12分。

「・・・・・・あれ?」

俺は自室のベッドの上に座り込んで置時計と窓の外を交互に見やる。
しかし、訪れるはずの男はちっともやって来る気配を見せない。

「この時計、時間ずれてたっけ?」

そう呟いて携帯のディスプレイに表示されている時刻もチェック。
・・・やはり0時を大分過ぎてしまっている。

「なんで来ねぇんだよ。来るっつったのはテメーじゃねーか。」

まさか仕事でも入ったか?
いや、それなら連絡ぐらい入るはず。
自分で言うのもなんだが、俺とアイツはそういう関係だ。
―――俺と、浦原喜助とは。
しかも今日・・・否、昨日は俺の17歳の誕生日だった。
それなのに、連絡の一つも無し。

「約束破りやがったのかよ。しかも、俺の誕生日に。」

口ではそっけなく言ってしまったけれど、内心結構楽しみにしていた昨夜の訪問。
それなのに来るはずの相手はそのへらへら顔を見せることもなく、こっちはただ胸の中がモヤモヤした。

ムカツク。

頭の中にその一言だけが浮かんでは消え、俺は目を閉じてベッドにぽすっと寝そべる。
瞼の向こう側がぼんやりと赤く光っていて、あぁ電気消さねぇと・と思うけれども
そのまま動かず枕に顔を押し付けた。
視界は一気に暗闇に染まり、俺は明日アイツを訪ねることだけを心に決めていつの間にか眠りに落ちていた。






















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