BIRTHDAY





「黒崎サ〜ン♪ お誕生日おめでとうございま〜〜すv」


日付が変わった瞬間にそう言って窓から入ろうとした浦原を結界がはば

ぶつけてしまった鼻を擦りながら結界は虚だけを拒むはずなのにと首を傾げる。



「…あれ?」



「いらっしゃい喜助♪」



声音だけは朗らかに真咲が窓を開け浦原を迎え入れる。



「ここは一護さんの部屋でしたよね?」



「えぇ、間違いなく一護の部屋よ♪

ただ…貴方みたいな人達が息子の眠りを妨げないようにと思って……」



クスクスと笑いながら見下ろしてくる真咲に浦原は背筋が寒くなるのを感じながらも

不振に思った点を尋ねずにはいられない。



「…達?(複数形なんですか?)」



「達♪(複数形なのよ)」



指差し下を見ろと促されて視線を落とせば

部屋の窓の下では折り重なった死覇装が見える。



「…ぇ〜と……」



見知った顔が混じっていたような気がしなくも無いが

浦原は見なかったものとして処理した。



「それで当の一護さんは?」



「眠ってるわ」



お互いに笑みを崩さないまま攻防が続く



「今日は特別よ」



微かに苦笑を滲ませて真咲が場所を開ければ

視界に飛び込んでくる健やかに眠りを貪る子供。



「これは…邪魔できませんよねぇ…」



浦原もまた苦笑し、眠りを妨げないようにそっと近寄る。

いつも寄せられた眉が解け

あどけない程に眠りを貪っている。

長年眠り続けていた母の目覚めと、あるべき姿を取り戻した家族の状態に

何年振りかの穏やかな誕生日を迎える事が出来た一護。



「朽木さんは?」



「コンちゃんと一緒に今日だけは私の部屋に来てもらってるのよ」



普段の結界と一護の部屋だけを更に護るように施された二重の結界

せめて今日のこの眠りは、いつもよりも深く柔らかなものであるようにと願い

額にそっと口付けを贈る。



その感触に、ふわりと幼い頃を髣髴ほうふつさせる笑みを浮かべた一護

心が温かくなり、同じく柔らかな笑みが自然に浮かぶ。



「外の始末はアタシに任せてくださいな」



「お願いね」



同じ血縁に繋がるものとしての気安さから

二人は微笑み、子供の眠りを妨げるものを排除する為に動く。





どうか

貴方の眠りが健やかであり続けますように



HAPPY BIRTHDAY



















『まいぺぇす』の文々様から。

一護生誕記念のフリー小説ですv

このお話の設定は文々様のサイトに行かれると良くわかりますよ。

それにしても。浦原さんと真咲さんの会話が何とも素敵で・・・!

一護の愛されっぷりも良いですよねーv

文々様、この度は小説掲載許可をありがとうございましたv

心より感謝いたします!












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