----------藍+一
(死神が真咲を見殺しにしたことで、『仮面の化物』と『黒衣の人間』を憎む一護。そんな一護と藍染の出会い)

「バイバイ。黒いひと。」
声変わりなどまだ先の、少し舌っ足らずな幼い少年の声。
昼間なのに薄暗く、どんよりとした雲がどこまでも広がる空の下。
ある特定の人物達にだけ視える『紅』が飛散した。
その身長に見合わぬ漆黒の刃を右手に下げ、髪といわず顔といわず、いたる所に赤い液体を纏わせた少年は首から先を失った黒い着物の人物に向かって悠然と微笑む。
さらに少年達よりもう少し離れた所には白い仮面の真ん中を貫かれた異形の物が一体。
見るものが見れば分かっただろう。
その異形の物は『虚』。
魂を喰らう、魂の成れの果て。
そして、少年にたった今絶命させられた黒い着物の人物は『死神』。
虚を狩る、現世と幽世の調停者。
一体この少年は―――
スッと少年の目が細まる。
微笑みは消され、年齢に不相応な眉間の皺が刻まれた。
「・・・だれ?俺に何か用?」
「霊圧は完璧に消せていたはずなんだが。」
まさか気づかれるとは。
内心そう呟き、藍染は高みの見物を決め込んでいた一般家庭の屋根の上からひらりと舞い降りた。
音もなく少年の前に立ち、一言。
「はじめまして、少年。私は藍染惣右介という・・・君の名前を伺っても?」
「黒崎、一護。」

圧倒的な力を持つ、それが彼との始まり。
小さな君主を見つけた日。





----------浦←一
(破面が浦原を傷つけたことで我を忘れた一護)

「殺してやる殺してやる殺してやる。
 お前らはあの人を傷つけた。あの人に、血を流させた。
 だから、殺してやる。」

無表情に、無慈悲に。
漆黒の刃は振り下ろされた。


十刃の攻撃で彼の人物が傷を負った。
少年が、最も大切に想っていた人物が。
それは悲劇の始まり。それは宴の始まり。
彼の一振りで血が、腕が、頭が、宙を舞う。
「お止めください、一護様!!何卒、何卒・・・!」
まさに『紅い』光景を目にしながら、藍染は声を張り上げる。
しかし再度刃は振り下ろされ、新たに一つ、首が舞った。
「一護様っ!」
「・・・藍染、お前に何か言える資格はあるのか?」
少年の目が此方を射る。
深い琥珀色の中に絶対零度の炎が揺らぎ、藍染を睥睨した。





----------CPなし
(死神VS破面で、藍染達が窮地に立たされる。その時―――)

「ああ、もう・・・仕方ねーなぁ。」
そう言って、少年―――黒崎一護は藍染に向かって伸びた刃を難なく素手で弾き返した。
卍解の黒衣が風に煽られて広がる。
まるで藍染達を護るかのように彼らを背にして苦笑を浮かべる一護を、共に戦ってきた皆もそしてその三人も驚愕の表情で見つめいていた。
「・・・どういうことだよ。なんでお前が―――!」
「ごめんな。やっぱ慕ってくれてるやつを見殺しにするなんて出来ねぇからさ。」
仲間であるはずの赤髪の青年にそう答え、一護は眉尻を下げる。
だが琥珀の目には決して数瞬前まで自分が立っていた位置に戻ろうという意思は無く。
空から降って来た反膜に包まれ、小さな微笑を浮かべた。
「バイバイ。」





----------CPなし
(ルキアがグリムジョーによって負傷したことについて)

「誰があの時、ルキアの腹に穴開けて良いって言った?」
静かにそう呟いた少年はうつ伏せになったグリムジョーの顔を蹴り上げた。
「がはぁ!」
鬼道で動きを制限し、ただただ蹴りつける。
声を上げる気力すら奪ったところで、少年はグリムジョーの頭に足を置いた。
そして、思い切り踏みつける。
「・・・・・・っ!!!」
「攻撃するなとは言わねえ。けどさ、時と場所は選んでくれない?死なせちまったらどうするつもりだよ。」
―――あんな所じゃ、治癒することすら出来ない。
無表情で自分本位な他人への思いやりを口にする。死んで欲しくは無いのだと。
「ねえ。」
頭の上から退かした足の先でグリムジョーの顎を捕らえ、そのまま上を向かせる。
薄ら寒い微笑を乗せて。
「二度目はないよ。覚えておいで。」





----------CPなし
(一護が藍染と手を組もうと決意した理由)

"使える"
そう思った。

出来損ないの化物しっぱいさくどもを生産していた奴等。
そして、俺の中に生まれた白い化物かんせいひん
あの化物が「俺が死神になったとき」に生まれたと思っている奴等は多い。
けれど、真実は違う。
アイツは俺が生まれたときから俺の中にいた。
俺と一緒に生まれたんだ。
ただ、「あの時」を境に俺を侵食するスピードが速くなったのは確か。
だからなのだろう。
アイツの生まれた時期を勘違いしている奴等ばかりなのは。

藍染惣右介。
この人物と出会ったのは偶然だった。
偶々、藍染が霊力の高い子供・・・つまり俺を見つけて拾ったのが始まり。
藍染がどういうつもりで俺を拾ったのかは知らない。
けれどその時、俺は思った。
使える、と。
俺を侵すこの白い化物を侵食し返してやるために。
俺は、俺を侵すものを許さない。絶対に。





----------藍→一
□藍染独白ver.1

私は、あの男が嫌いですよ。あの浦原喜助が。
一護様が内に虚を抱える原因となった元死神。
確かに彼は崩玉を創り、私はそれを使って破面を創った。
破面を創って尸魂界を滅ぼす。それが私の『あの時』からの誓いだったから。
けれどそんなことなど比べようもないくらい一護様は大切な方だったのだ。
その一護様をあの男は苦しめている。
解決策さえ、知らぬままに。





----------藍→一
□藍染独白ver.2

君に感謝しよう。浦原喜助。
君のおかげで破面は完成し、私は多大なる力を手に入れる事が出来た。
そしてそれに勝るものがもう一つ。
一護様が私を頼りにしてくださった。
一護様が内に抱えられている虚。それは浦原喜助が原因で生まれたものだ。
そして「死神の虚化」の研究によって生まれた崩玉が、今やその解決策として私の手の中にある。
解決策を知らない君は一護様に頼られることなどない。






















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