そして彼方で見る夢は
□side-Gin Ichimaru□




















「どうしたの?ギン。」

「ん〜?何でもないわ。」



現在この廃屋で共に寝泊りしている少女にそう返し、

銀髪の子供―――ギンは、常より細い目をさらに細くして笑った。



「・・・そう?なんか機嫌よさそうなんだけど。」

「あ、やっぱわかってまう?ちょっとな、今朝の夢見が良かってん。」

「ふ〜ん。」



と、それだけ返して少女―――乱菊は口を閉じた。

どうせどんな夢だったのか訊いても答えはしないだろう・と。



乱菊が続きを言ってこないのを確認して、ギンは廃屋の外に出た。


太陽はそれほど高くない。しかし早朝というわけでもない。

起きるにはちょうどいい時間だろう。




と、僅かにオレンジがかった日の光を浴びて、ギンの口元がゆるりと弧を描いた。


ギン自身、夢見が良かったと言っても、何がどうだったのか具体的なことは何も覚えていない。

夢から覚めてしまった自分に残っているのは、光と強い魂の響き。

そして、この朝の太陽よりももっと濃い色。まさしくそれは夕日の色だった。






太陽と同じ絶対的君臨者のような輝きを持った何かと夢の中で出会ったのだ。






一瞬で心奪われた。その存在に。


それを全身全霊で崇拝したくてたまらなかった。

それを引きずり倒して自分の下に跪かせたかった。

泣きたいくらいそれが愛しくてしかたなかった。

切ないくらいそれが憎くてしょうがなかった。





相反する思いを抱え、そしてそのまま目覚めが訪れる。


残ったのは、重い想い。


持っているのは至極大変。

しかしどうしても持っていたいと思ってしまうもの。



それでもいつか、この重い想いをあの夕日色に捧げることが出来るのだろうか。

もしできるのなら・・・・・・





「あかん。ニヤけてまうわ。」



口元の弧をさらに大きくして、ギンは朝日の中、来たるべき“いつか”に遠く思いを馳せた。






















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