■BLEACH/護廷の死神→極道、一護→闇医者なパラレル1
※このSSはフィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。(以降同様)



山本組と言えば、この国でも有数の極道である。
組織のトップに立つのは、山本元柳斎重国。
還暦を迎えてかなり経つが、そんじょそこらの若衆など容易く圧倒してみせる気迫があった。

そんな山本が住まうのは、東京都内の某所、広大な敷地を有する純和風建築の屋敷。
その『山本』と書かれた表札を掲げる門の前に、一人の青年が立っていた。

髪は鮮やかなオレンジ。
細い銀フレームの眼鏡をかけ、身に纏っているのは白衣だ。
左手にはジュラルミンのケースが握られている。

つい先程、黒塗りの車でここまで送り届けられた青年は、慣れた様子で門に取り付けられているインターホンを押した。

「黒崎です。定期健診に参りました」
『お待ちしておりました、黒崎先生。中へどうぞ』

機械越しに返される声。
その声を聞き、青年は屋敷の中へ足を踏み入れる。

青年の名は、黒崎一護。
腕は確かだが料金は法外な、頭に“闇”がつくお医者様である。















■BLEACH/護廷の死神→極道、一護→闇医者なパラレル2



「山ジイ久しぶり。調子はどうだ?」
「問題ない。一護は……おお、髪を切っておるな」
「あ、わかる?」

人払いがされた山本の私室で交わされるのは、まるで祖父と孫(ひょっとすると曾孫)のような会話だった。
一護はジュラルミンのケースを開けて診察用の器材を取り出しながら楽しそうに笑う。

「妹に切ってもらったばっかなんだ。やっぱ美容室よそってのは行きにくくてさ」
「その髪色なら仕方あるまいて」

ほっほ、と笑う山本の姿は、まるっきり好々爺だ。
常ならば威厳に満ち溢れている白い髭や眉も、今は正反対の雰囲気を醸し出している。
実際、血の繋がりはまったくない二人だが、山本は一護を実の子や孫以上に可愛く思っているのだ。

「じゃあジイさん、まずは血圧からなー」
「うむ」

すっと差し出された傷だらけの老人の腕を取り、一護は血圧測定用のシートを巻く。
テキパキとこなされる作業を見つめながら、山本は“いつもの如く”呟いた。

「のう一護よ。そろそろ本当に儂の子にならんか?」
「遠慮しとくよ」

苦笑しながら一護がそう答えるのも、いつも通りのことだった。















■BLEACH/護廷の死神→極道、一護→闇医者なパラレル3



山本の検診を終えて板張りの廊下を歩いていると、見知った顔と出会った。

「やあ一護君。検診帰りかい?」
「はい。お久しぶりです、藍染さん」

山本組の幹部の一人、藍染惣右介だ。
柔らかそうな茶色の髪に黒縁の眼鏡、穏やかな物腰はとても極道の人間に見えないが、必要時には彼が冷たい“本性”を表すことを一護は知っている。

表裏の差が激し過ぎると言うか、猫の被り方が尋常ではないと言うか。
この人物と一護はあまりお近づきになりたくないのだが、如何せんあちら側が話し掛けてくるのでどうしようもない。
山本とは祖父と孫のように接するが、基本的にこの組織は一護の“お客様”であり、無碍には出来ないのだ。

「元柳斎様の検診が終わったのなら、これからお茶でもどうだい? 久しぶりに会ったのだし、君の近況でも聞かせてくれると嬉しいな」
「然して面白い話は出来ませんよ?」
「大丈夫さ」

実に人の良さそうな笑顔で藍染は一護を誘う。
忙しいのだと理由をつけて断ることも可能だが、藍染の笑顔を見ているとその案はあまり気が進まない。
一護は腕時計で現在の時刻を確認してから、「わかりました」と小さく肩を竦めた。















■BLEACH/護廷の死神→極道、一護→闇医者なパラレル4



山本組の幹部・藍染と小一時間ほど話をした後、一護は帰りの車の後部座席に座っていた。
しかしながら、窮屈な空間からやっと抜け出せたと言うのに、一護の眉間には普段以上の深い皺がくっきりと刻まれている。
一護は「うーん」と小さく呻いてから、バックミラーに映る運転手の顔を見て溜息を吐いた。

「浦原さん……なんでアンタがこんな事やってんだ?」

“山本元柳斎重国の主治医”の送迎は、本来、もっと下の人間がするものだ。
にも拘らず、現在この車を運転しているのは、淡い金髪と不思議な色合いの瞳を持つ、藍染と同じく山本組の幹部の一人、浦原喜助。
諸事情で他の人間達よりも仲が良く、年下の一護がタメ口で話せる相手なのだが、それにしてもこれは無いだろうと思った。
が、浦原本人にはきちんとした理由があるらしい。
滑らかなハンドル捌きで車を運転しながら浦原は「だって」とミラー越しに笑いかける。

「こうでもしないと一護サン、お話してくれないでしょ? まぁ藍染みたいに無理矢理誘うってのもアリっちゃあアリですけど、一護サンもお暇な人じゃありませんしね」
「お気遣いどーも。でもアンタ一人くらいなら、事前に連絡くれれば時間くらい空けとくぜ? 親父も会いたがってたし」
「ありゃそうなんスか? じゃあ本当にお誘いしちゃいますよ?」
「おう。待っててやる」

だからとりあえず今は運転に集中しろよ、と続けて一護は目を閉じる。
静かな車内のシートに身を深く預け、ほんの少し眠ることにした。















■BLEACH/護廷の死神→極道、一護→闇医者なパラレル(設定メモ書き)



・浦原さんは一護さんの父親(一心さん:医者)の古くからの友人で、一護の剣術と体術の先生。

・一護さんは戦闘可能なお医者様。(職業柄、危ない目に合うこともあるので)
 いざとなれば山ジイからもらった日本刀(斬月)で戦います。
 でも体術でもメスでも(笑)銃でも、本当は色々出来る。

・山ジイの前主治医は一心さん。
 ただし一護さんの腕が十分な物に成長したので、早々にチェンジ。

・現在の一心さんは隠居生活中。たまに一護さんのサポートもする。

・一護さんの家族構成は原作と一緒。ただし現在は独り暮らし中。

・一護さんは23歳か24歳くらいのイメージ。

・浦原さんと藍染さんは仲が悪い。同属嫌悪?

・『仮面の軍勢』や『破面』の皆様は、それぞれマル暴(警察)だったり弁護士だったり、色々。

・山本組の幹部は13人。(護廷の隊長 - 山ジイ + 浦原)















(10.05.22up)














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