■BLEACH/スレ一護(属性:戦闘狂)が過去編の藍染VS浦原に乱入/CP無し ※流血注意!



空には三日月。足元には出来損ないの仮面を被って倒れ伏している同僚達。
血の匂いが漂うその場所で浦原喜助十二番隊隊長は目の前に立つ人物に問い掛けた。

「何故嘘をつくんスか・・・?」

浦原がこの場に駆けつけた時、すでに惨状は出来上がっており、視線の先の三人の人影だけが立つことを許されていた。
藍染惣右介五番隊副隊長と他二名。
彼らはやってきた浦原――しかも登場時は藍染に斬りかかる形で――に敵意や戸惑いを見せることなく、この場にいるのがさも当然で疚しいことなど何もないと言うように平常通りの態度を見せている。
何をしていたのかと浦原が問い掛けた際も、偶然にも“戦闘で負傷した”魂魄消失案件始末特務部隊の者達を発見し救助を試みていたと答えて。
だがその答えに対して浦原は先の質問を向けた。
藍染惣右介、お前は何故嘘を吐くのか。と。
すると藍染は冗談でも耳にしたかのように薄く笑って答えた。

「嘘?副隊長が隊長を助けようとすることに何か問題が?」
「違う。ひっかかっているのはそこじゃない。戦闘で負傷した?これが『負傷』?」

言って、浦原が一瞥したのは出来損ないのような白い仮面。
死神として彼らが剣を振るう対象が身につけている物と嫌になるほど似通ったそれ。
浦原の薄い色の瞳が再び藍染を映し、これ以上のふざけた物言いは許さないとばかりにスッと狭まった。

「嘘言っちゃいけない。これは『虚化』だ。」
「・・・成程。」

数瞬の間が空き、落ち着き払った藍染の声が闇に落ちる。

「やはり君は思った通りの男だ。」

そう続けた藍染の霊圧が一瞬にして跳ね上がった。
これが副隊長レベルの霊圧だというのか?
そう思わずにいられないほど圧倒的な威圧感に、浦原の額には汗が浮かぶ。
魂魄消失事件として尸魂界を騒がせ今もまた浦原の知り合い達にとんでもないことを仕出かしたのは確実であろうこの男を捕らえなくてはならないのに、身体がいつも通りの動きをしてくれない。
こちらに背を向けて去ろうとする三つの影へと無理やり足を踏み出そうとすれば―――


「オモシロそーなことしてんじゃねーか。」


くつくつと笑う、若い男の声。
頭上から聞こえたそれに思わず天を振り仰げば、月を背景にして新たな人影が現れていた。
突然の闖入者に藍染達の歩みも止まっている。
浦原が驚きに声を失って――何せ気配など微塵も感じなかったのだ。『隊長』であるはずの自分が!――唖然としてると、彼に代わって藍染が問いを発した。

「君は?」

勿論視線の先は月の方向、現れた若い男に向けられて。
薄ぼんやりと月の光を受けるその男―――否、少年が纏っているのは自分達と同じ死覇装だろう。
その闇色の着物の上にあるのは月ではなく太陽を連想させるオレンジ色の頭。
短く切られた頭髪の鮮やかさには、残念ながら見覚えがない。
隊長格に出現を悟らせないほど巧妙な霊圧・気配の隠し方、そして背中に背負った身の丈もある斬魄刀を持っているというのに、だ。

「死神のようだが、君みたいな者が護廷に属しているという話は聞いたことがない。斬魄刀を見る限りはかなりの実力者であると思うんだが。」
「んー・・・。ま、俺のことなんてどうでもいいじゃん?今はあんたが俺の事情に突っ込んでくるんじゃなくて、俺があんたらの事情に首突っ込もうとしてんだからさ。」

あくまでも面白そうに、嘲るように少年は言葉を紡ぐ。

「で、なんかさっきから見てたらめっちゃ強い悪役とそれに圧倒されてるヒーロー未満って感じがしてんだけど―――」

藍染を見て悪役と称し、浦原を見てヒーロー未満と笑った少年は、そのまま浦原に視線を向けて茶色の双眸を弓なりに細めた。

「ここは弱い方に味方すべき?」

少年が言い切ると同時に銀の光が迸った。
キィン!と甲高い音が発生したのは宙に浮かぶ少年のすぐ目の前。
いつの間に背中の大刀を構えたのか、少年は斬り掛かってきたドレッドヘア―――東仙要の一閃を余裕の表情で受け止めていた。

「あっぶねーなぁ。」

まさか不意打ちをこんなにも容易く避けられるとは思ってもみなかったのだろう、わざとらしく目を丸くする少年の声を聞きながら東仙が小さな呻き声を上げる。
しかしそれすら少年を楽しませる要素にしかならない。

「“御主人様”のためを思って行動すんのは悪かねえけど、そうやって突っ走ってばかりいちゃァ、」

少年はチラリと地上の藍染を一瞥してから斬魄刀を握る手の力を微妙に変化させた。
それに気付いた東仙が距離を取ろうとした所で―――

「こんな風に、死んじまうぜ?」

暗い空に赤が舞う。
特に霊圧を解放したわけでもなく、おそらくは元々斬魄刀が帯びていた霊力と少年の剣技だけで東仙の斬魄刀が呆気ないほど綺麗に折られていた。
しかも少年が放った一撃は剣を折るだけに留まらず、その向こう側にあった東仙の胸部を恐ろしいまでの深さで切り裂いているではないか。
袈裟懸けの傷は明らかに致命傷だ。
動く意志を失った身体はどすんと地面に落下し、乾いた大地の上に勢いよく血の花を咲かせる。
ぱっくりと冗談のように大きく開いた傷は今この場に最高位の治癒技能を持った者がいても助かるかどうか。

藍染が飛び散った赤色を経由して上空の少年に目を向けると、視線に気づいた少年が「へぇ」と感嘆の吐息を吐き出した。

「部下が斬られてもまだそんな目でいられんのか。・・・それとも、他人なんてどうでもいいクチ?」

なんて酷い、と続ける声音は明らかに楽しんでいるものだ。

「そこの黒フードの人とは対照的だなぁ。浦原さん、だっけ?自分に殺気まで向けた人間に対してちょっとばかり甘すぎだとは思うけどさ。」
「その甘い男だがね、少々頭が良すぎたので彼には尸魂界から退場していただくための用意もしてあったのだが・・・君のおかげで予定が狂いそうなんだ。」
「あ、そう?」

柔らかな音でコーティングされた藍染の皮肉を少年が気にした素振りはない。
むしろ「そりゃ悪かった」と続く言葉には嘲弄が隠すことなく織り込まれている。

「ま、どうでもいいけどな。今の俺は弱きを助け強きを挫く、正義のヒーロー気取りだから。悪役の事情なんて気にしない。」

あまりにも“あんまり”な言い様だが、ひと一人を呆気なく切り捨てた実力があるため笑うに笑えない。
突然の手助け(?)に呆けたまま言葉を発する機会を失った浦原とその背後に控える大男、そして藍染と銀髪のもう一人をぐるりと見渡した後、少年は最後に後者の二人の位置で視線を固定すると誘うように左手をくいくいと曲げた。

「ちゃんと殺さない程度に加減して相手してやるからさ、さっさと来てくんねーかな?―――あんたら二人一緒なら少しは楽しめそうだし。」

背を向けることは許さない。折角見つけた獲物を逃がすには、ここは少々娯楽が少なすぎるんだ。
少年が言外にそう続けたと思ったのは、彼の言葉を聞いた者の錯覚だったのか。
語りかけられた者の心臓を凍らせるほどの愉悦と毒を含んだ声は、そうしてその声を向けられた藍染達に剣を抜かせたのだった。




この後、ソウ様は九割殺しくらいの目に会います。可哀想に(笑)















■BLEACH/スレ一護(属性:浦原隊長大好き(笑))が過去編の藍染VS浦原に同席/浦一(?)
 ※属性には「(笑)」も含まれます←



「隊長。とりあえずその三人は俺が片しておきますんで、隊長はひよ里さん達の方をお願いします。」
「あ、頼めます?じゃあよろしくお願いしますね。」

なんて軽い会話なのか。
虚化の実験者と被験者を前にしてその会話は当然のように交わされた。
浦原に笑って「任せてください」と返したその少年はオレンジ色の鮮やかな髪で月光を弾きながら数歩前へ。
藍染の記憶が確かならば、彼は十二番隊の席官でも真ん中辺りに位置している死神だった。
鮮やかな頭髪と身の丈程の大刀はそれなりに目を惹いたが、特筆するほど霊圧が高い訳でもなく、気に掛けるような存在ではなかったはずだ。

だが今のこの状況は何だ?

柄に巻きついた布をふわりと泳がせて歩み寄ってくる少年からは異様な圧迫感が休む間も無く襲いかかってくる。
脳内で警鐘を鳴らすその圧迫感に藍染はまだ耐えられたが、すぐ傍にいる東仙と市丸がジリっと一歩後ずさった。

彼は何と言う名前だったか・・・。
ふと藍染の脳裏を掠めた疑問に答えるようなタイミングで少年が告げる。

「五番隊副隊長・藍染惣右介、同隊・市丸ギン、九番隊・東仙要。以上三名は魂魄消失事件の最重要参考人として、これより十二番隊第七席・黒崎一護が身柄を拘束させていただきます。抵抗は・・・したかったらどうぞ?出来るものなら。」

そんなことは出来ないだろう?と嘲るように、嫣然と微笑んで。















■BLEACH/スレ一護(属性:無気力傍観系)が過去編の日常に一般隊士として存在
 一般隊士なのはサボって実力を発揮していないため。
 藍染の「鏡花水月」にはかかっていません(霊圧で無効化?)



(あ。まただ。)

視線の先を行くのは五番隊の隊長・平子真子。
黒崎一護は隊舎の二階の窓に頬杖をつき、茶色の眠たげな眼差しで金色の長いストレートヘアがゆらゆら揺れるのを遠目に眺め、内心で呟いた。
平子隊長は自身の三歩後ろを歩く人物に何かと話し掛けているらしく、時折後ろを向いたり手を動かしていたり、この距離からでも笑い声が聞こえたりする。
そして彼らに道で擦れ違った他の隊士達は双方にぺこりと頭を下げてそのまま、もしくは二言三言交わして去って行く。
それはここ一ヶ月、一護がちょくちょく見る光景だった。

(普通ああいう人の後ろにつくのは副官とかだよな・・・?)

現在の五番隊隊長の地位には一護が護廷に入った時から既に平子真子が就いていた。
そして一護の護廷配属に前後して彼の元に副官として就いたのが、こげ茶色の髪とメガネの奥に優しそうな瞳を持つ藍染惣右介という男。
尚、藍染を「優しそう」と表すのは一般的な評価であり、一護はそう思っていない。
他隊所属かつ一護の地位が席官の末席付近であるため直接顔を合わせる機会などゼロなのだが、一方的に遠目で見る限り、どうにも彼の男は腹に一物抱えているようなのだ。
つまりごくごく簡単に言ってしまえば、一護から見た藍染惣右介は腹黒ということである。
そして話は戻るが、今一護の目に映っているのは平子真子であり、そして藍染惣右介―――ではなく、一ヶ月前までは見たこともなかった虚ろな目をした死神だった。
にもかかわらず、平子はまるで自分の後ろにいるのが副官の男であるかのように振舞っているし、他の隊員達も同様。
所詮は他人のことだ・とどうでもよく思う一護だが、皆が皆そのように振舞うためやはり少しばかり気にもなっていた。

(なんだろうな、あの変な男。ここ一ヶ月眺めてた限りだと、俺以外の人間にはちゃんと藍染惣右介に見えてるらしいが・・・でもどう見たって別人だろ。まさか集団幻覚にでもかかってんのか?俺だけ仲間外れで。もしくは俺だけが幻覚を見てるのか・・・いやでも、たまにあの男じゃなくて藍染副隊長が平子隊長の後ろ歩いてんのも見かけるし、だから俺一人が変な幻覚を見てるって線も薄い・・・やっぱ変なのは俺以外の死神達だよなぁ。)

穏やかな風に眠気を誘われて声を出すのも面倒臭く、常の半分程度しか回っていない頭でぼんやりと考える。
視線の先では自分の隊の隊長が例の二人と出くわして、やはりと言うか何と言うか、『平子隊長と藍染副隊長』に軽い挨拶を送っていた。

(あーあ。初めて見たけどやっぱあの人もか。)

実力があって中身的にも“狸”などと称してよいくらいの人物が呆気ないほど二人に別れを告げ歩いていく。
異常に気付いた様子は無い。
それをぼうっと眺めていた一護は、

「・・・・・・。ま、いいか。」

ぽつりとそれだけ声を出し、窓の傍から退いて気だるげに畳みの上で寝転がった。




その数日後。

「浦原隊長が永久追放ねぇ・・・・・・もしかしなくても藍染副隊長に嵌められた?」

いつも通りの調子で、いつも通りのあの場所で。
ぼんやりと瀞霊廷の様子を眺めながら黒崎一護がどうでも良さげに呟いた。




色々勘付いていても、どうでもいいので何もしない無気力系一護サン。















(10.02.20up)














BACK