BLEACH(浦一)



[変換ミスで10のお題]
愛言葉(あいことば)



「黒崎サーン。好きですヨー」

軽く、本当に軽く、戯れに吐く言葉。

「あー、はいはい」

言われた少年はコチラを見ようともせず、さらに軽く返す。

「ツレナイっスねぇ」

ふざけるなっ・と怒鳴ったり顔を真っ赤にすることも無く、

淡々と雑誌のページをめくり続ける太陽色の少年に向かって

浦原はつまらなさそうに呟いた。



土曜日の午後。

場所は浦原の自室。

特に何をするわけでもなく、少年――一護はその部屋を訪れていた。

想い人の来訪に嬉しく思う浦原だが、肝心の一護は己の相手をしてくれない。

まぁそんな気分の時もあるだろう・と少しばかり待ってみたのだが、

待つというのは随分と長く感じるもので。

とうとう構って欲しさに、先刻の言葉を言ってみた。

そうして返って来たのは、なんとも気の入っていないお言葉。

本当にツレナイ・・・と一護の背後で嘆いていると、

当の本人は小さく溜息をついたあと、くるりとこちらに振り返って目を合わせた。

「・・・アンタがつまんねぇ事言うからだろ」

呆れたような声。

眉根のよった、憮然とした表情で応えてくる。

「つまんなくありませんって。ホントなんスから」

何とも思っていない者を自分は自室に入れたりしない。

そう言うと、オレンジ色の少年は「あっそう」と答えて、



「・・・俺はアンタが好きなんじゃない。アンタを、愛してるんだけどな」



強い意志を持つ琥珀色の瞳に射抜かれて、息がつまった。

(・・・ああ。そうでしたね)

そうだった。

自分は彼を『好き』なのではなかった。



「黒崎サン、愛しています。」

愛しています。

誰よりも、そして何よりも。



「・・・おう」



返って来たのは、愛しい人の照れた声。



















BLEACH(ギン一?/パラレル)



[変換ミスで10のお題]
電言ゲーム(でんごんげーむ)



鳴り響く、電話の呼び出し音。

父親と妹達は出かけており、自分が出るしかない。

二階の自室から降りてきて、一護は受話器をとる。

「はい、黒崎です」

『あ、一護ちゃん?ボクや、ボク』

受話器からもれるのは、聞き覚えのある明るい関西弁。

「・・・オレオレ詐欺はお断りします。どうぞ別の所でやってください」

そう言って受話器を置こうとすると、声の主――市丸ギンは焦ったような声で、

『ああ!切らんといてぇな。ボクが悪かったからっ

・・・今日はな、一護ちゃんに頼みたい事があって電話したんよ』

「俺に?・・・つーか、ちゃん付けで呼ぶな、気色悪ぃ」

『まあええやん。それでな、実は今ちょっとした遊びやってるんやけど、

一護ちゃんにも参加して欲しいねん。時間はかからへんから。な、頼むわ』


またくだらない事を・・・

こいつ(等)はそんなに暇人なのか?

そう思うが、知人の頼みを無下にすることも無いだろうと考え直して、

その頼みとやらを聞いてみる。

「ま、いいけど。いったい何するんだ?」

『あ、ホンマ?ありがとうなァv実はな、ボクら電言ゲームやってるんや』

「・・・伝言ゲーム?」

『ちゃうちゃう。ただの伝える言葉やなくて、電話で伝える電言ゲームや』

「・・・・・・・・・・・・・・・」

言葉の音だけではっきり漢字までわかってしまうのか・とか、

どっちも同じようなモンじゃねぇか・とか思うが、とりあえず無言。

『アハハ・・・ダレからスタートしたんかは知らんけどな』

「まぁいいか。んじゃ、俺は誰に何を伝えればいいんだ?」

『誰にでもええよ〜。あ、伝える言葉はな』

「ん?」



世界で一番あなたを愛しています



「・・・・・・はぁ!?」

『あ、伝えやんかったら、何か罰ゲームみたいなん有るらしいで?

どないして伝えやんかった奴を見つけるんかは知らんけど。

それじゃ!今度は電話やなくて、ちゃーんと会って話そな〜v』

「お、オイ!ギン!」

プチ。ツーツーツー・・・

「き、切りやがった・・・」

受話器を持ったまま立ち尽くす一護。

「・・・どうしようか」

伝えるべきか、伝えないべきか――あの言葉を。

でもまあ・・・



「アイツになら、いいかもな。・・・次に回さねぇでほしいけど」

呟き、一護は電話をかけた。

―――頭に浮かんだ、あの人に。



















BLEACH(コン一)



[変換ミスで10のお題]
悲願花(ひがんばな)



紅い紅い―――血の様に真赤な花の名前。

それを聞いたとき、オレは思ったんだ。

オレが持ってる願い事。

それはたぶん『悲願』って言うんじゃないだろうか・って―――











オレのカラダ

ヌイグルミのカラダ

それがすごく嫌になる時があるんだ。

アイツが戦っていても、オレは共に戦うことが出来ない。

アイツが傷ついても、オレはその傷を癒すことが出来ない。

無力なカラダ

オレはただ、アイツを見ているだけしか出来ない。

そして、アイツがアチラへ行ってしまった今ではそれを見ることすら出来ない。

何も出来ない。



ヌイグルミのカラダだから、アイツは気軽にオレに触れてくれる。

夜、このカラダを抱きしめたこともあった。

でもオレは・・・オレからアイツに触れることは出来ない。

抱きしめ返すことは出来ない。

だって、オレにはそのための腕がないから。













もし本当にいるのなら、神様―――

オレに、カラダをください。

アイツを護れるだけのカラダを。

アイツを抱きしめられるだけのカラダを。

オレが持ってるたった一つの本当の願い。

どうか叶えてください。

どうか、どうか―――・・・























紅い花よ、ヒガンバナよ。



悲願の、花よ―――

















ハガレン(ロイエド/アニメ終了後)



[変換ミスで10のお題]
雨と無知(あめとむち)



冷たい雨が降る。

雨粒が窓に当たっては落ちてゆく。

幾筋も、幾筋も。



彼と別れてから、どれほどの月日がたったのか。

一週間? 一ヶ月? それとも一年?

どこに居るのだろうか。

どうしているのだろうか。

あの、黄金色の少年は。

その深き知性を垣間見せる、金色の瞳。

願掛けの様に伸ばされた、蜂蜜色の髪。

そして、背負った運命の過酷さを、芯の通った意志の強さを表すかのような鋼の腕と足。

今でも思い出すことが出来る、その体を胸に抱いた時の温かさ。

君は、自分の思う道を進めただろうか。

弟の体は取り戻せたのだろうか。

己の腕と足は取り戻せたのだろうか。

何もわからない。

何も、知らない。

君のことを知らない。

君のことを知りたい。



「エドワード・・・」





君に、逢いたい―――



















伝勇伝(シオライ/7巻終了後)



[変換ミスで10のお題]
相互不可信(そうごふかしん)



絶対に、触れて欲しくないことがあった。

絶対に、知られたくないことがあった。

お互いの相互不可侵。

侵してはいけない領域。

誰にも越えらたことは無かった。

自分の中に他人が入ってくるのが怖かった。

その線を越えてしまえば、きっと全てが駄目になる。

そう思っていた。

だから互いに越えなかった。

そして互いに越えさせなかった。

でも、その一歩を踏み出してしまった。

一歩踏み出すことは至極簡単で。

そうして得たのは、とてもとても幸せな時間。

一線を越える前に恐れていた事がバカらしくなるほどに。

ふざけあって、笑いあって。

お互いを信じ合うことが出来て。

この時間がずっと続けばいいと思っていた。



でも今は。

相手の気持ちがわからない。

今までわかっていたはずなのに。

互いが互いを信じられなくなって。

この想いを信じて欲しい。

己の思いが届いて欲しい。



今はただ、お互いのことがわからぬまま、

違う場所で、同じ事を思うのみ。



もう二度と通じ合うことは出来ないのか。

信じ合うことは出来ないのか。





途切れた思いは、相互不可信。
























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