タ イ ト ル
未 定
高校一年生の春。ごく一般人として県立北高校に入学した俺は自分の後ろの座席に座っている少女を見て度肝を抜かれた。涼宮ハルヒーっ!?おいおいマジかよ。なんでこんな所にいるんですかハルヒさん。ここにはお前が求めてるような不思議は・・・と焦りつつこの学校に俺とハルヒを除いて一般人しかいないことを確かめるように探ったのだが、いた。いたよ非一般人。ぶっちゃけると未来人と宇宙人が。いや、最近何事に対しても無関心を貫いてきてたからなぁ。気付かなかったぜ。もしかしてハルヒの奴、力を無意識に使ってこの高校を探り当てたのか?異世界人と超能力者はいないが未来人と宇宙人は揃ってるしな。・・・それと"俺"も。
一年五組、初めてのホームルーム。その席で平々凡々な俺の自己紹介のあと奇天烈なそれをかましてくれたハルヒだが、彼女には望めば宇宙人も未来人も異世界人も超能力者も自分の下に引き寄せる力がある。何故って、それは俺がその力をハルヒに与えたからさ。 三年前、中学生になったばかりの彼女は酷く自分に失望していた。人より色々と秀でていた所為か、気付かなくても良いのに己――と言うよりも「人間」だな――の小ささを理解してしまい、何もかもが特別に感じられなくなってしまっていたのだ。偶々そんな彼女の境遇を知った俺は気まぐれで「特別」になるための力を与えた。勿論その力を不用意に使われるのも後々面倒なので、力を使えることは教えないまま、なんだけどな。ちなみに何が面倒なのかと言うと、悪意を持って力を使用したり、その他あまりにも目を覆いたくなる事態を引き起こした際には俺がその責任を取らなくてはならないからである。具体的には一部の記憶改竄とか、はたまた如何にもこうにもならない時のオールリセットとか。 さて。そんな風に気まぐれで一人の女の子を神モドキに仕立て上げる等色々出来てしまう俺だが、その正体はと言うと、実は特に名称など無い。何せ呼ぶ存在がいないからな。とりあえず今は人間、だろうか。しかも一般人で男で高校生の。昔は某国の宰相になったり仙人みたいな暮らしをしてみたり力を使って錬金術師だと名乗る人間の中に紛れ込んだりしたこともあるが、とりあえず今は「キョン」だなんてあだ名で呼ばれる少年と青年の過渡期にある人間だ。 この人間の人生で俺は、思ったことを何でも実現させていては面白くもなんとも無いから余程のことが無い限り力を使わないようにし、スリリングではないけれど平凡は平凡なりに穏やかかつ楽しい生活を送れるのだと実感している最中「だった」。過去形なのは皆さんお解かりだろう。ハルヒと三年ぶりに接近してしまったからである。 やばいなー。疼く。こいつと係わったら絶対楽しいって。これまでの穏やかな生活よりこっちを取っちまう可能性が高過ぎてしょうがない。むしろ確実にこっちを取るな。うん。 今まで通り平凡な人生を続けたいならわざわざ力を使わずとも、一般人には興味の無い彼女の前で一般人を続けていれば良いだけの話だ。もしくは一般人であっても奇妙な話を持ち掛けなければ良いだけのこと。でも俺は楽しいことが好きだった。ハルヒに力を与えたのだって、バタフライ効果で俺の所にまで(俺がわざわざ望んだわけではない部類の)不思議な出来事がやってきてくれれば僥倖、とか思ってやったことだからな。神や宇宙人や未来人や異世界人や超能力者本人としてではなく、その横か斜め後ろかもっと離れた所に立つ一般人として彼らが巻き起こす騒動に片足かその指先くらいを突っ込むと言うのが俺の今現在「楽しいはずだ」と思っている事柄なんでね。 そしてハルヒとの再会。これはもう巻き込まれ型人間として彼女が巻き起こすであろう不思議体験に参加させてもらう以外手は無いんじゃないか。既に宇宙人と未来人はこの高校にいるし、あと一人くらい・・・そうだな、この世界には超能力者も生み出されていたはずだから、そいつが来てくれるかもしれない。本当は意思を持って探れば未来すら簡単に判るんだけど、それやると面白くないからな。だからやらない。まあ、未来を知らずとも不都合があれば簡単に過去に戻って修正出来るから、その必要が無いってのも未来を見ない理由の一つではあるがな。 そんでもって異世界人はどうだろう。今のところ世界を渡れる俺がある意味異世界人なのだが、これはそっちのカテゴリに入れていいのかどうか不明だ。だからその辺は保留ってことにしておこうか。 あーもう、楽しみだな。こいつはこれからどんな騒動を巻き起こしてくれるんだろうね。とりあえず、今は話しかけることから始めようか。きっと"一般人の俺"に彼女は大した興味も抱くことなく即刻無視されてしまうだろう。しかし一週間か二週間かけて色々口を挟んでやれば―――。 これからのことを考えて俺はこっそりと笑った。期待してるぜ、ハルヒ。 続きません(ぇ) ネタだけです!ネタだけ!ちょっと書いてみたかっただけなんです。 |