「グリムジョー、」 「あ?なんだよウルキオ・・・おぶっ!!」 ドゴォォォオオオン!!! 「ギャアアアァァァァ・・・」 「ぐ、グググリムジョーが吹っ飛んだ!?」 「ウルキオラどうしたの!!」 相手の名前を呼んだかと思えば、振り返ったその水浅葱の髪の破面の頬を容赦なく殴りつけた黒髪の同胞に、思わずイールフォルトとディ・ロイが目を剥く。 吹っ飛ばされたグリムジョーは哀れにも床に倒れ、手足を痙攣させているではないか。 一方、頬(しかも仮面が張り付いた方)を殴りつけたはずのウルキオラは相変わらずの無表情。 かと思えば、その場に膝をつき、小さな白い欠片を拾い上げた。 イールフォルトとディ・ロイはそんなウルキオラの様子を「何だろうか」と眺めていたが(下手に助けてとばっちりを喰らいたくないのでグリムジョーの所へは行かない)、ウルキオラの手にある欠片を見てディ・ロイが「あっ」と声を上げた。 「ディ・ロイ?」 「あれ・・・グリムジョーの仮面のやつだよね。」 「・・・・・・・・・あ。」 ウルキオラの手にあるのはグリムジョーの仮面の一部、牙の部分だ。 殴り飛ばした時に衝撃で折れてしまったのだろう。 と、ディ・ロイ達が見守る先でウルキオラは叩き割った仮面の一部をそのまま懐にしまうと、無表情に、しかしなんとなく満足そうな雰囲気を纏ってどこかへと行ってしまった。 残されたイールフォルトとディ・ロイは倒れているグリムジョーと先刻までウルキオラが立っていた場所を交互に眺め、 「・・・これがツンデレというものか?」 「もしかしたらヤンデレとかクーデレかもしれないよ。」 多少(いや、かなり?)違うと感じつつも虚しく、そう呟いた。 「あ、もしくは殴り愛。」 「一方的過ぎるがな。」 |