たとえば、声を押し殺すために噛み締められ赤くなった唇とか、目尻に溜まった透明な液体とか、俺が触れるたびにイヤイヤと首を振ってシーツに広がる色素の薄い髪とか、どくどくと早いリズムを刻む心臓とか、日に焼けない内腿の白さやそこに映える鬱血の痕とか。こいつの、古泉一樹の全てが俺を誘うために用意されたものなんじゃないかって思う時がある。
汗が浮いた肌はしょっぱいはずなのに、舐めると何故か甘く感じたりしてさ。ああもうホント、なんでこいつはこんななのかって、俺はいつでも考えてる。 「……ッ、あ。……な、に……考えて、るんです、か」 「お前のことだ」 「ッ!!」 両手をベッドに押し付けたまま耳元で囁いてやる。そしたら古泉は元々赤くなっていた顔を更に赤くさせて息を呑んだ。 大きく見開かれた両目は綺麗な二重で、睫毛だってそんじょそこらの女子に負けないくらい長い。美形が多い(ってか俺を除いて全員美形)のSOS団の中に居て、その女子達に囲まれて、全く見劣りしない奴なんだよな、こいつは。 普段は胡散臭い優等生で無駄に言葉数が多くて、内緒話をするためなんだか知らんが妙に顔が近かったりして。なのにこちらから近付いたりすると急にうろたえ出し、顔やら耳やら首筋やらを真っ赤にするから可愛いなんて思っちまったりするんだ。だから俺はこうしてる時も、そうじゃない時も、お前といる時はいつだってお前のことしか考えられなくなる。 「ひゃ、あっ! なんでっ、こんな時ばっかり……す、素直に、そんなこと、言っちゃう、……ン、です、かっ!?」 「さあな」 「アぁ! ン、く……っ」 生意気な質問にはまともに答えず、腰を動かす。ぐじゅ、と卑猥な水音がして脳が痺れるような快楽。組み敷いた対象は背を弓なりに反って、まるで俺の眼前に捧げるように胸の飾りを突き出してきた。女のようなふくらみなんて全く存在しないのに、その赤を見ただけで喉が鳴るのはどういうことだ? まるで反射のように俺はそこに吸い付いて、舌で転がす。 「ンん、ふぁ……」 古泉は優しい愛撫より少しきつめの、痛いくらいの接触も結構好きらしい。だから俺はわざと散々吸ったり舐めたりした後、胸の飾りに歯を立てる。すると、ほら。 「っ、ああ!!」 ビクンッと古泉の身体が跳ね、高い嬌声を漏らした。これも女とは違う、掠れて妙に色っぽい声。その声だけで背筋が泡立つんだから、俺も大概どうかしてるよ。 「やっ……おっきく、なった、ぁ」 「っ! だったらそうやって煽るなよ」 平素なら無駄なことばっかり喋ってるくせに、こういう時だけ俺を煽るような単語を選別しているかのように言ってくるなんて。 なぁ古泉。お前もう黙れ。黙ってくれよ。これ以上お前に喋られると俺はどうすりゃいいのか解らなくなる。 無茶苦茶にしてやりたいし、色んな反応を見たいし。でも大切に大切に、気持ちいいことだけでその身体をいっぱいにしてやりたくもなるんだ。 「ひゃ、あ……あ、アぁぁ………ッ、あ、なた、だって」 「ん?」 「あなた、だって……そんな、余裕な顔、して……っ、や、ああああ!」 余裕な顔、のところで不満そうな表情をしやがったから思い切り腰を引いて貫く。余裕? 一体何処の誰に余裕なんかあるんだ。 「あ、あ、あ、ン……はっ、くぅ……!」 「お前相手にっ……余裕なんか、あるかっての!」 「はっ、あ! だ、だって」 「フリくらいさせろよ。古泉……俺は、お前を抱いてる男なんだから」 「……ッ!!」 ああもう。お前なんでそんなに可愛いの。 目ぇ見開いて真っ赤になって、でもその後すぐにふにゃりって顔崩して笑ってさ。「はい」なんて笑顔で言ってくれちゃって、お前は俺をどうしたいんだ。 「これ以上お前を好きにならせるなよ」 「僕は……もっともっと、あなたに愛して欲しいんですけど、ね」 「っ、酷くしちまっても知らんからな」 「あなたが与えてくれるものなら……っ、なんだって、欲しいんです」 「言ってくれる」 「や、ちょ……あ、ひゃ、や……ァ、あ、あああッ!!」 「く……っ!」 ほぼ同時に達して、脱力した古泉の身体を抱きしめた。 すると古泉の方からも腕を背中に回してきて、俺はどうすりゃいいのか分からなくなる。 「好きです。僕があなたのものでよかった」 しかもこうやって囁いてくれるから性質が悪い。 幸せに、なんとしてでも幸せにしてやりたくなるんだ。お前がこうやってずっと笑っていられるように。俺に好きだって、俺のものでよかったって言ってくれるように。 「僕は今でもちゃんと幸せですよ?」 「それ以上に、だ」 「あ、あなたって人は……あなたの方が何倍も性質が悪い!」 「そうか?」 そうですよ! と言い返してくる古泉に笑う。 ああ、もう。 古泉。お前、なんでそんななの。 なんで、こんなにも俺を幸せにしてくれるんだ? いつだって 考えてるのは君のこと
「キョン×古泉で古泉を可愛く。とことんエロイやつ」をリクエストしてくださった匿名様に捧げます。 ありがとうございました! |