「兵長! あの世界で童貞のまま終わったってマジですか!」
「てめぇ二千年ぶりに再会して一発目の台詞がそれか! 泣くぞ! 俺が!」 クリスマスソングが今年最後の絶唱とばかりにやかましく鳴り響いていた十二月二十五日の聖なる夜。 本当にもうただの偶然、別に探し合っていたわけでもなく、オレとリヴァイ兵長は再会した。 巨人が蔓延っていたあの世界で一生を終えてから、実に二千年ぶりの再会である。ちなみに兵長の童貞情報はエルヴィン団長とハンジさん提供でっす★ で、そっから三ヶ月後。 昔と同じように……いや、むしろ道具が充実している分あの頃よりも潔癖症を拗らせている兵長もといリヴァイさんは、オレが借りているアパートにいた。別に同居してるわけじゃない。この人、この世界でもバリバリ働いているらしく、『人類最強のサラリーマン』なんてあだ名までもらっている。もしくは人類最強の社畜。現在大学生で二年後には本格的な就職活動を開始する身としては非常に嫌な響きだ。社畜。 ともあれ働いているし、働きまくってる所為で金を浪費する時間すらないし、で、リヴァイさんはちゃんとしたマンションをすでに持っている。再会してからすぐ招待されたから試しに行ってみたけど、モデルルームばりに綺麗だった。さすが掃除の鬼。 そんな掃除の鬼をお招きしても大丈夫なくらいにはオレの部屋も綺麗に保たれている。潔癖症までとはいかないけど綺麗好きとしてやってこられたのは、きっと前世で兵長に扱かれまくったからに違いない。それしか思い当たらない。 オレが今の世界で生まれ育ったのはごくごく一般的な家庭で、生まれながらに記憶があった所為でちょっと普通とは違う子供だったオレに両親はそこそこ手を焼きつつも、病んだり荒れたりするようなことはなかった。外で働く父と家でその帰りを待つ母。屋内と小さな庭はいつも小奇麗で、ただし兵長に扱かれた記憶を持つオレとしては「全然なってない」って感じ。 でもまぁ折角母が綺麗にした後の部屋をオレが追加で手を出しちゃってもあの人の機嫌を損ねると言うか、そんなわけで。オレがリヴァイさんをお招きできる水準を保てるようになったのは、大学に入って独り暮らしを始めてからだ。 あ、大学と言えば、彼女もできたぜ。高校の時は、とりあえず勉強!進学!独り立ち!って気持ちが強くて、一年に一人くらいは告ってくれる子がいたんだけど、すべてお断りさせてもらってた。でも大学に入って余裕ができたから、一回生の夏休み前に告白してきた子と付き合うことにした。 結果は……クリスマスに一人で歩いてるところをリヴァイさんと出くわしたっていう説明があれば、これ以上は要らないよな? え、もうちょっと詳しく? あー……うん。オレに彼女ができたのは夏だ。これから真っ盛りってヤツだ。遊びまくっちゃう季節だ。 オレは突然彼女が来たいと言うから部屋に入れた。リヴァイさん仕込みの掃除が行き届いた部屋に。すると彼女は部屋を見回し、こう言った。 「何よ私以外の女がいるのね!? ふざけんなバカ! ケツ掘られて死ね!」 わけがわからないよ。 状況と台詞から推測するに、「男一人暮らしには見えない部屋=他に恋人がいてその人が掃除している」と考えたんだろう。オレがその誤解を解く間も無く彼女は去ってしまって、オレの前世含めた人生初のアバンチュールは終わった。それにしてもケツ掘られて死ねとは何事だ。オレにいるという恋人はペニ○バンド愛用者なのか。それとも、 「彼女は今のこの状況を予期していたとでもいうのか」 うっかり固い口調の文章が口から飛び出してしまったのは、今の状況が非常に非現実的というか受け入れがたいあれだったからである。 「あ? てめぇこの状況で他のヤツのこと考えてんのかよ」 ドスのきいた声で話し掛けて来たのは本日この部屋にお招きしたリヴァイ元兵士長様。ちなみにオレから見ると、リヴァイさんの頭の向こう側に天井が見える。反対側、つまりオレの後ろには安っぽいベッドの感触があった。お分かりいただけただろうか? 下から順に、ベッド、オレ、リヴァイさん、空気、天井。確実に押し倒されていますねなんだそれ。 つい先程までオレの首筋をねっとりと舐め上げていたリヴァイさん(潔癖症が行方不明)は、そこから顔を離してオレの顔を覗き込んだ。わーお、眉間に皺! すっごい皺! 今ならクリップの代わりになりそうですね! しかも巨人を前にした時のオレ以上に目がギラッギラしてる。なんだろう、すごくヤバいことだけは解った。 「いえ、他のヤツと言いましょうか、こうなることを予見したかもしれない元恋人のことを思い出してしまいました。あ、彼女とはもう何もないです。縁もすっぱり切れて、スマホのアドレス帳からも名前消えてますから、ええ、はい、何もないです本当です」 なんでリヴァイさんにこんなことを言わなきゃいけないんだって理性が訴えるんだけど、本能がこうしなきゃいけないって叫ぶんで、とりあえず口に出しておく。オレの中のアルミン先生が言ってたんだ。何かを得るためには何かを捨てなきゃいけないって。今この場合、得るのはリヴァイさんの不機嫌回避、捨てるのはオレのプライドと疑問だ。 「……ふん」 やったー! アルミン先生、オレはやったぜ! プライドと疑問を捨てて不機嫌回避した! 作戦成功だ! さすがアルミン先生! ここぞという時に助けてくれる金髪の悪m……じゃなくて、親友! 眉間の皺の深度が浅くなったリヴァイさんはオレの首筋を再び舐め回すのではなく、今度は顔中にちゅっちゅっと可愛らしい音を降らせ始めた。なんだか妙にくすぐったくてオレが肩を震わせると、リヴァイさんもほんの少し楽しそうに笑う。 って、あんたー! なんでオレの服をめくり上げてんですか! 「ちょっ、リヴァイさ……ひゃ!」 つめたっ! おててがちょーつめたいです! 変な声が出た所為でリヴァイさんの動きが止まった。そんなにびっくりしなくても……。そもそもあなたが服の中に手を突っ込んできたからじゃないですが。オレを睨まないでくださいよ。責任は全部そっちですからね。 「……なんですか」 「いや、悪くないと思って」 「……」 なんだろう、この人。平和な世界に生まれてネジが何本かぶっ飛んじまったんだろうか。 「って言うかリヴァイさん何やってんですか」 「?」 いやそんな、キョトンとされても。オレの方がキョトンですから。 「だって」 はいはい。だって、何ですか? 「今日がお前の誕生日だと言うから」 うん。そうですね。今日はオレの誕生日です。だからわざわざ貴重な休みの日にここまで来てくれたんですよね。 それで? 黙して次の言葉を待っていると、リヴァイさんは神妙な面持ちでシャツの下にもぐっていた手を抜き、代わりにオレの両手をぎゅっと握った。 「俺の童貞をやろうと思って」 「あんた現世でも童貞かーーーーー!!!!」 「潔癖症拗らせてるからな。お前以外には触りたくない。男だろうが女だろうが、お前以外の穴に突っ込むなんざごめんだ」 シーザスッ! 憧れの兵士長(前世)が潔癖症拗らせすぎてて怖い。 「俺の誕生日の時にはお前との再会っていうプレゼントがあっただろう? だからお前の誕生日には俺にしか渡せない物をと思ってな」 そして「てれっ」と効果音が付きそうな感じにテレる三十路。 てれっ、って! てれっ、って三十オーバーのオッサンがやっても可愛くねぇんだよ!!!!! 遠きあの日のキリッとした兵長どこ行った!!!!! うがー!と内なるオレ(巨人ver.)が頭を抱えて唸っているうちにリヴァイさんの手の動きが再開される。このオッサン童貞の癖に気付いたらオレの下半身真っ裸にしてるんですけどどうしたらいいですか。 ホントマジどうしよう。内なるアルミン先生も背中を向けて去って行ってしまった。グッドラックって最後に良い笑顔残して行かないで! サムズアップなんていらないから! 戻ってきてアルミン先生!! 「っあ……!」 オレのムスコーーーーー!!!!! そこ触られちゃうと抵抗がね、本当にね、できませんね! 声もね、出ますよね! しかもオレ若いから。ヤりたい盛りの身体だから。仕方ないと思うの。リヴァイさんがニヤリと口の端を持ち上げてオレの急所を緩急つけて扱いてくる。 「ま、って! リヴァイさ、っ……ん」 早々に出始めた先走りで滑りが良くなったところで裏筋を丁寧に擦られ、そのまま鈴口を指でぐりぐりされると本当にたまらない。つま先がシーツを掻いて、跳ねる。下腹がひくりと震えて顔に熱が集まった。 「ぁ……ま、だめ……リヴァ、い、さ、ゃ……」 脚がガクガクと震えた。でも両足の間にリヴァイさんの身体があるから、どちらかと言うと太腿をリヴァイさんの身体に擦り付けてる感じ。しかも刺激を与えられるたびに腰が浮いてアレを突き出す形になるから、すっげぇリヴァイさんにおねだりしているように見えてるんじゃないだろうか。 股からぐちゅぐちゅと粘着質な音がはっきりと聞こえるようになり、更にその音のスピードも上がる。荒い息を吐くと、リヴァイさんが伸び上がって額にキスを落として行った。 「出していいぞ」 「あっ、ふ……ん、んっ」 「エレン、いけ」 「……っあ、あ、あ……ああーっ!」 耳元で囁くとか、卑怯すぎでしょう。 囁きと同時に鈴口に爪を立てられ、オレは呆気なくイってしまった。解放感と脱力感、そして俗に賢者タイムと言われる我に返った後の虚無感。それに身を任せてぐったりしていると、オレの出したものを手で受け止めていたリヴァイさんの指があらぬ所に滑り込んだ。 「いっ!?」 そういやオレに童貞をプレゼントしてくださるんでしたっけ!? そっちの知識もきっとちゃんとクソ真面目に調べて来たんでしょうね。でもね、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいリヴァイさん! オレ一度も受け取りますとかありがとうございますとか言ってませんよ!? 受け取り拒否の如何はどうなってるんですか! クーリングオフは!? これ押し売りですよね!? 「エレン、力抜け。さすがに俺だけじゃどうにもならんだろうが」 「あ、はい」 元上司に命令されて反射的に返事をする。腹(と言うより肛門)の力を抜いてリヴァイさんの指が入りやすいように。何やってんだオレ!って兵士モードを解除した時にはもう遅い。あーもーなんだこれ、この異物感。「ここだよな……?」とか呟きながら探してるのって前立腺ですか。そうですか。 くに。 「ああっ!?」 ビクンと跳ねた。オレの身体、今ちょう跳ねた。なんだこれなんだこれなんだこれ! オレの股間のとこにある兵長の顔を見ると、ニヤリと極悪な顔で微笑まれた。 「ここか」 そうですね、そこですね! 「あっ……! り、りヴぁい、さ、まって……ま、やぁ、ああ、あっ」 前立腺を見つけたリヴァイさんはそこを集中的に攻めてくる。ぐりぐり押されるたびにオレの身体は面白いくらい跳ねて、頭の中は真っ白になっていく。ちらりと見たオレのムスコも一度吐き出したと言うのにすっかり元気になってしまって、はしたない汁をだらだらと流していた。 気付いたら穴に突っ込まれている指が三本になっていて、リヴァイさんのベルトのバックルを外す金属音で我に返った。そして人類最強の人類最強とご対面! 「……はいるんですか、それ」 「当たり前だろうが。お前にやるって言っただろ」 すでにスタンバイ☆オーケー!なリヴァイさんのリヴァイさんにオレはタマヒュンした。しかしムスコがそれに連動して瞬時に大人しくなるようなことはなかったので、リヴァイさんはどんどん事を進めてしまう。 すでにご立派なご子息を更に数度扱いて成長させると、リヴァイさんはとうとう先端をオレの入口(本当は出口)に触れさせた。無理! 無理でしょ無理だろ無理に決まってる! あんな人類最強、お迎えできるわけがない! いくらオレが元人類の希望であっても、この身体は一般人のものですからね!? そんな人類最強をお迎えできるもんじゃないですよ!? マジで恐怖したオレの入口(重ねて言うが本来は出口)はオレの心情に即反応して(ムスコより出来がいいとはこれ如何に)、リヴァイさんのご子息をほんの数ミリ銜え込んだ時点できゅっと窄まった。 びちゃ。 ……? びちゃ? あの、なんだかすごく入口(再三言わせて頂きますが本来は出口です)がちょっと温かくてですね。 「リヴァイさん……?」 「……」 「…………」 「………………」 「……………………リヴァイさん」 「なんだ」 しょっぱい気持ちになりながらオレは自分の股の方に顔を向け、ふにゃっとしているリヴァイさんのご子息を眺めて告げた。 「あと一回だけ頑張ってみましょうか」 「…………ん」 こくりと縦に動く形の良い頭。 なんとなく撫でてあげたい気持ちになったけど、それを本当にすると更にこの人の心が折れてしまうような気がしたので、代わりに「リヴァイさんファイトー」と呟き、相手のやりやすい体勢を取ってあげる。 「一度出しちゃったから今度はもっと余裕があるはずです」 「おう」 数回手で扱いて硬度を取り戻したリヴァイさんのものがオレの入口(いいや、出口だ!)にぴたりと当たる。そう、その意気ですリヴァイさん! ぐに、と入ってくる感覚。物凄い異物感と圧迫感に耐えながらオレはふと思った。 でもオレ達、前世も現世も 恋人じゃないんだお!(^ω^)
2014.03.30 pixivにて初出 |